今日も「おひとりさま」で「ヤマト」音楽に酔う

 今日は法事で妻の実家に行き、妻とドレミをそのまま置いて僕だけ帰宅しました。明日僕は仕事で、仕事のあとあちらに合流し一緒に帰ってくるという計画。というわけで、今夜も「おひとりさま」ですわ(笑)。たいがい一人の夜は趣味全開で過ごします。大概ビートルズだったりギター弾いたりですが、今夜はちょっと(だけ)方向違いで。
 今日は夕食をとりながら1本のDVDを鑑賞しました。年末に購入していたんですがなんだかんだインフル騒ぎやらで時間が取れなくて今日初めて観たそのタイトルは「宇宙戦艦ヤマト劇場版」。非常に安い価格で出ていたので思わず購入してしまいました。何を隠そう僕は、テレビ版「宇宙戦艦ヤマト」全話を、本放送のとき1回も見逃さず全部観た人間なのです。そのときは人気がなかったというのが定説ですが、僕のクラスの男子はたいてい観ていて、月曜日(番組放送が日曜日でした)はみんなで内容の確認やらなんやらで盛り上がっていたのを憶えています。キャラクターやメカの造形もストーリー運びもそれまでの「テレビマンガ」とは違うもので、小学生だった僕にも「これはすごいものだ」と感じられるものでした。低視聴率だったなんて当時は知らなかったし(ぼんやり認識していたような記憶もありますが)。
 「兄は死んだのに、なぜ司令官のあなたは生還したのか」と詰め寄る古代(弟)と一言も弁解しない沖田、ワープという言葉、波動砲を初めて使用したときの苦い後味、ドメルもそしてデスラーも含めての「魅力的な適役」、ガミラス本星決戦の悲しい結末(と、それをちゃんとストーリーとして成立させているところ)、そしてもちろんヤマトの造形など、小学生の僕にはそれまでまったく知らなかった、そして恐ろしく魅力的なものばかりでした。そりゃね、今見返せばいろいろ粗はあります。ご都合主義的な部分も多いし、突っ込みどころは多いですが、それでも画期的な作品であることは変わらず、惹きつけられる熱があります。そういえば「作品に突っ込みを入れる」という行為が成立したことでも「ヤマト」は嚆矢といえるかも知れませんね(有名な「OUT」の特集など)。
 そして僕にとってなにより忘れがたいのが、その音楽。さすがに小学生ですから今のようになんでもスラスラ知ったり理解したりはできませんでしたが、それでも「ヤマト」の劇中音楽は実に質が高かったですね。僕は当時、ビデオデッキもテープレコーダーもなく、もちろん弾ける楽器もまったくなにもないころでしたが、テレビで観ただけで、音楽のいくつかは完全に頭の中でプレイバックできるほどちゃんと記憶していました(だってそうしないと「聴きたいとき」に聴けないでしょw)。後に「交響組曲宇宙戦艦ヤマト」が出たとき、主題の殆ど総てをちゃんと憶えていて自分でも驚いた記憶があります。あのスキャットが自宅のスピーカから流れてきたときの感激は、ちょっとお恥ずかしいですが自分の30年以上の音楽ファン歴でもそう何度もないほどのものでした。それくらい素晴らしかった。そして「ヤマト」の音楽を好きになったおかげで、僕は宮川泰という偉大な作曲家を知りました。例えばアニメとしてのクオリティや後に与えた影響などを考えると、「ガンダム」他の名作傑作群に「ヤマト」は及ばないかも知れませんが、ただひとつ音楽だけは、「ヤマト」の独壇場だと思います。今ではもう望むべくもない「フルオーケストラ生演奏」という形で、いくぶんアナクロではあるけれどドラマチックなあの世界の「伴奏」を奏でてくれた功績は、その後のどんな作品が出たとしても「二番評価」を受けることのないものだと思います。
 今聴いているのは「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」何年か前に購入した10枚組CDボックスに入っていたもので「交響曲」はボーナスディスク扱い。1984年に五反田で行われたコンサートの実況録音(の、このディスクがCDとしては初出になるマルチからのトラックダウンバージョン)。作曲は宮川泰氏ですが編曲とピアノは羽田健太郎氏、指揮が大友直人で演奏がN響という豪華な布陣。第四楽章のピアノとオケの絡み合いはもうすっかりピアノコンチェルトのようです。ここでのハネケンさんの編曲は完全にクラシック(後期ロマン派)的な意匠で、宮川氏の持っていた(そして「ヤマト」の音楽のあちこちに顔を出していた)歌謡曲〜ラテンポップス的意匠はありません。そのへんが好みの分かれ目かな?でもいいんですよ。ハネケンさんの編曲はとてもロマンチックで、「ヤマト」の世界にピッタリ。初期からピアノ演奏で関わり、後期は作曲にも貢献していたハネケンさんだからこその愛情のある解釈です。実写版とか復活編とか、今だにいろいろニュースの流れてくる「ヤマト」ですが(僕はどちらも未チェック)、その音楽は今でも感動的です。

 追記:僕よりいくつか年下の妻はど真ん中「ガンダム」世代で、「ヤマト」はちょっと受け付けないようです。でも音楽では完全に「ヤマト」が勝ってますよね。僕は今でも「哀・戦士」でのジャブローの戦いの場面に主題歌を流すあのセンスが理解できません。「めぐりあい宇宙」の歌はキング・クリムゾンの某曲にそっくりだし(笑)。
 もうひとつ追記:今日の日記に書いたボックス、今はもう廃盤のようで、さっきアマゾンで探したら、10万円を超えるプレミア価格になっていました(正価は21,000円)。ロック系でも時々すごい高騰しているものを見つけることがあります(そんなプレミアには見合わない内容のものも、入手困難でそうなるみたいです。僕が持っているものでもそういうものを見かけます)。こういうのはなんだか不健康だなあ。ボックスはコストがかかるので無理はいえませんが、「聴きたい人は必ず入手できる」システムができないものでしょうかね?配信も含めて、実現してほしいものです。