ハイチ救援アルバムの「Let It Be」

 大きな被害があったハイチの大地震。「○○時間ぶりに救出!」という嬉しいニュースもありますが、本当に悲惨なことになっているようです。で、こういうときに遠く離れた人間にできることといえば募金です。いろいろなところで募金を受け付けていますが、iTunes Storeでもできるようになっていました。ストアのIDを持っていればワンクリックで簡単に募金できるようになっています。こういうのってネット時代のいい面ですね。いろいろ見方や考え方はありますし、総て肯定できることではないでしょうが、それよりもまずは、命を繋ぐための物資が届いて欲しい、そう思います。
 ところでiTunes Storeでは今、「Hope For Haiti Now」というアルバムがチャートの1位になっています。これはタイトルからもわかるとおり、この大地震のチャリティ・アルバム。僕は知らなかったんですがアメリカで放送されたチャリティイベント番組で収録された音源だそうで、地震から約1週間で番組を放送し、その翌日くらいのタイミングで配信開始。しかもアーティストもレコード会社も配信したアップルも利益を得ないそうで、購入代金100%が寄付されるそうです。本当にすごいことです。内容はといえばビヨンセ、マドンナ、アリシア、メアリ・J、シャキーラ、コールドプレイ、それにスティービー・ワンダースプリングスティーンなど蒼蒼たるメンバーの演奏が20も入って1200円!もちろん購入しました。
 まだ2回ほどしか聴いていないので詳細は不明の部分もありますが、どの曲も真剣なパフォーマンスです。ボスは「We Shall Overcome」を子供達のコーラスと競演、スティービーは「Time To Love」をイントロにして「明日に架ける橋」。チャリティではいつも大張り切りのスティングは「Driven To Tears」の熱演。アリシアビヨンセなどの女性陣はみんな力一杯の歌唱です。シャキーラやマドンナといった「キャラクター優先型」アーチストもこういうときはしっかり歌っていて、本来の力を発揮しています。今回のチャリティのために書かれたという「Stranded(Haiti Mon Amour)」はジェイ・Z、リアーナとU2のフロント2人の競演。iTSでのレビューからの情報では、電話などの打ち合わせだけで作られたとのこと。いくぶん厳粛な感じのトラックに乗ってこれまたシリアスな調子のラップが始まり、だんだん盛り上がって行きます。短調長調を巧みに織り交ぜた曲で、速成とは思えないクオリティです。ジャスティン・ティンバーレイクとマット・モーリスの「Hallelujah」(レナード・コーエンの曲)も印象的でした。
 さて、どの曲も質の高い今回のチャリティ・アルバムで、僕にとって今のところ一番心に残ったテイクは、「Let It Be」です。そう、ビートルズのあの曲。歌っているのはジェニファー・ハドソン。実は一番最初に聴いたとき、曲名やアーチスト名をチェックしていなかったんですが、この曲が始まったときは本当に驚き、歌っている人を確認して感動してしまいました。あの悲しい事件からは少し時間が経ち、公式の活動もあった彼女ですが、まだまだ本当に心の傷は癒えていないのではと思っていました。その彼女がここにいて、そして「Let It Be」を歌っている。なんてすごいことなんだろう。なんだか彼女の力強い歌唱に、アメリカショービズ界の底力、そして彼女自身の勇気を教えられた気がしました。名カヴァー、名唱だと思います。
 最初の方に書きましたが、チャリティというのはなかなか難しいもので、お金を送れば一件落着というものではないことは承知しています。でも現実には、僕のような市井の人間は、誰かがオーガナイズしてくれないことにはなにも出来ないということも事実です。今は僕が大好きなアーチスト達、そしていつも使っているマックやiPodを作った会社を信じて、ハイチの人達に、ささやかですが寄付させていただきます。1日も早い復興を、一人でも多くの命が助かることを、心から祈りつつ。
 追記:iTunes Storeへは、アップルのフリーソフトiTunes」で簡単にアクセスできます。今回書いたチャリティ・アルバム、例によって30秒試聴もできますので、興味のある方はぜひ試してみてください。(アップルのサイトはこちらです。下の方に今回のアルバムへのリンクバナーがあります)