ロニー・ウッドさま お見舞い申し上げます

 ロニー・ウッドがアルコール依存を治療するために施設入りしたというニュースが聞こえてきました。はて、思いっきり既視感のあるニュースですよね。アルコール中毒って、一度治療が終わった後また飲んじゃうともう取り返しのつかないことになるようなイメージがあるんですが、そうではないんでしょうか?ともあれ、「施設に入った」ということならいいニュースには違いありません。今回はミック・ジャガーが強く説いて治療を始めたということで、こんなところでミックの優しい本心が垣間見られて、そっちも興味深いです。
 それにしてもロニー、60歳を過ぎてますます「お盛ん」ですね。ちょっと前には障害事件で逮捕されたというニュースもありました(いや、もちろん褒められたことではないですが)。ストーンズのトラブルメイカーといえばずうっとキース・リチャーズが担当していましたが、異動があったんでしょうか(笑)?フェイセズ再結成という噂もあるし、公私ともに「動き回っている」感じです。
 昨年出た自伝、僕は出てすぐ購入して、そのまま読まずに今日まできているんですが(すみません、買ったら安心しちゃって)、実際に読んだキースは「半分はデタラメだ」と言っているらしいです。なんだかこれもロニーらしいですね。僕は以前こんな日記を書いたくらいですからロニーのことは大好きなんですが、なかなかどうして一筋縄ではいかない深さを持っているのかも知れません。
 今日は久しぶりにロニーの1枚目ソロ「I’ve Got My Own Album To Do」を聞きました。ロニーがストーンズに加入する前に出したものですが、すでにストーンズ人脈に組み込まれていて、ミックもキースも、ミック・テイラーも参加した(その他の演奏家もすごいメンツ)豪華なアルバムです。ロニーのアルバムというと「ラフなロッケンロール」という先入観がありますが、実際はストーンズフェイセズのものよりも緻密で陰影の深い音楽性を持った、けっこう凝った感触です。ジョージ・ハリスンとの共作共演「Far East Man」も、ジョージのバージョンよりしっかりした構成・演奏で、ちょっと意外ですがジョージのものよりもメロウな内容です。
 で、せっかくの自分名義アルバムなのに共演者の方が目立ってしまうところがロニーらしいところ。ミックもキースも目立っているし、ラストを飾る素晴らしい名曲はベースのウィリー・ウィークスだし。ストーンズファンには有名ですが、このアルバム制作時に作られた曲の中にあの「It’s Only Rock’n’roll」の初期バージョンがあるのですが、クレジットは結局「Jagger/Richards」だし。このひと、本当にそういう「誰かを引き立てる」のを喜べる人なんですね。ソロなんだからもっと「俺が俺が」ってやっていいのに。まさしく邦題の「俺と仲間」そのまんま。
 上に書いたように、ロニーだって色々な面を持っていて簡単に理解や了解はできないですが、それでも僕はそういう部分を、本当に魅力的だと感じます。エリック・クラプトンやロニー・レーンが窮地に立ったときも、傍らにはロニーがいましたね。なによりも、あの笑顔。あんなに笑顔が似合うロック・ミュージシャンはいないです。自伝の内容が眉ツバってところも、そう思いながら考えるとなんだか楽しい。飲んべえでホラ吹きで暴れん坊、でもいつだって友達のために、持てる才能を惜しげもなくつぎこんで全力投球。だから困ったときには友達が手をさしのべてくれる。ああ、いいなあ。それこそロニーの「天賦の才能」なのかも知れません。
 ロニー、早く元気になってくださいね。あなたが元気でいてくれるだけで、ロックの世界は豊かでいられるんです。どうぞご自愛ください。遠く日本からお祈りしています。そしてまたぜひこの国にも来てください。お大事に。

I've Got My Own Album to Do

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