オーケストリオンを検索したら…

 今やっていた「開運なんでも鑑定団」でオーケストリオンという「楽器」が紹介されていました。録音音源がなかった時代に自動演奏をするために作られたもので、背の高いアップライトピアノ(豪華仕様)という感じでしたが、中に空気を送るシリンダーがあり、そこをパンチカード様のロール紙が回ることで各種パイプに空気が送られ、それが内部の楽器を奏でることで、「自動合奏」することができるという…、ふう、ご理解いただけましたでしょうか(笑)?ウィキペディアにもありました。番組に出たのはちょうど100年前にシカゴで作られたというもの。実際に演奏させてみると、ピッチなどはちょっとゆるめながら、ラグタイム風の音楽で、雰囲気のある音色でした。結果は800万円。「ミントなら1千万は下らないが、空気漏れなどがあるので」ということでした。やっぱり少し緩んでいたんですね。鑑定された方の言葉では、「完全に整備されたものは、聴いていると踊り出したくなるほど」だそうです。
 こういうの、なんかいいですよね、惹かれます。ディスクオルゴールはCDを持っていて時々聴きますが、レコードが商品化される前(正確にいうと電気録音以前)、演奏家を雇わずに音楽を聴くにはこういう「自動演奏機械」を手に入れるしかなかったはずで、仕様が豪華なのも、購入予定者の所得や階層を物語っているようです。モーツアルトも曲を書いた自動オルガンも、ガーシュウィンのもので有名なピアノロールもそうですが、見事な機構でちゃんとした演奏なんですが、どこかちょっとだけ「不思議な違和感」のある音色とアンサンブル。僕はこういうものに「人間味がない」とは思わず、むしろこんな手の込んだものをこしらえてまで音楽を聴こうとする人間の思いというものを強く感じます。
 で、単純なものですから、「CD出てないかな?」と思いアマゾンを検索したんですが、特になにもヒットせず、見つけられたのは事実上1作品だけ、そしてその作品はなんとパット・メセニーでした(笑)。これにはビックリ。大好きなアーチストなのにチェックを怠っていたら、こんなアルバム出していたんですね。タイトルもそのものずばり「Orchestrion」。ジャケット写真を見て、解説やレビューを読む限り、どうも独自に開発した自動演奏システム(?)とパットの合奏のようです。レビューでは賛否半ばという感じですかね。
 僕はパットの音楽は、どの形式のもの好きで、ボツボツですが集めています。本当に様々なスタイルを身にまとう人なので、個人的な好き嫌いはあるんですが、それでも全体として、どんなことをやろうがパットなら大丈夫だと、不思議に確信しています。事実どれもいいんですよ。どの演奏もいいし、そしてなによりも、どの音楽にも「広がり」を感じます。ものすごく大きくて自由な才能が、狭いジャンルではなく「音楽」としか名付けようがない広大なフィールドで飛び回っている、真面目にそう感じます。この「Orchestrion」もちろん僕は一音も聴いていませんが、大傑作かどうかはさておき、間違いなくパットの大きな才能を感じさせてくれるでしょう。そしてそうであったらば、僕にとっては十分です。
 近々リンゴ・スターの新譜を買いにショップに行くので、これもチェックしてこようかな?また散財の予感(笑)。

Orchestrion

Orchestrion