ショパンイヤーだけど僕はシューマンに向かおう(笑)

 今日はシフト休なのでスーツをクリーニングに出した以外は家にいたんですが、1日中雨が降っていて、しかも気温もだんだん低くなるほど、「休みでよかった」と思えるような日でした。昼寝したりベース弾いたり、久しぶりにのんびりしました。
 クリーニングの帰りに(?)CDショップに寄ったんですが、クラシック売り場で「ぴあクラシック」をもらってきました。今年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン熱狂の日」音楽祭2010」のプログラムが載っていましたが、今回はショパンがメインテーマでした。まあ今年は生誕200年のショパンですから当然ではありますが。ショパンを中心にいろいろなプログラムで、プログラムを眺めているとムクムクと「行きたい」という気分になってきますね。ドレミが生まれてからはなかなか行けないクラシックのコンサートですが、この音楽祭では「3歳以上入場可」というものも多く、そういうのに親子で行くのもいいかな、と思います。ショパンは人気あるので、今回の音楽祭も盛況でしょうね。そういえばショップでもショパンのCDはたくさんあって、まさに「生誕記念」マーケット花盛りです。
 ところで、生誕200年というと、ショパン以外にもうひとり有名な人がいて、それなりにスポットも当たっているんですがなんだか目立たない人がいますね。ロベルト・シューマンショパンがクラシック初心者・入門者でも知っていて訴求力があるのに比べて、シューマンはもうひとつの人気。まあショパンの人気が高すぎといえばそうですが、なんだか可愛そうですね。
 実はシューマン、僕は長い間「好きではない」作曲家でした。初めて聴いたのは中学生のころ、それ以来有名なものは取りあえず聴いていたんですが、まさしく「聴いただけ」、さほど感銘も受けず、失望もしないというところ。ブルックナーなどとともに「別にどうとも思わない」作曲家の一人でした。
 それがここ数年でなんとなく好みが変わってきました。特に理由や転機があったわけでなく、敢えていえば「歳とった」というところでしょうか(笑)?ブルックナーなどもそうなんですが、若い頃には聴きどころがわからずつまらないと思っていたものが、今はわかりやすい「フック」を求めるではなく全体を聴くような聴き方になってきたからかも知れません。で、突然目が覚めたようになにもかもわかったわけでもなく、ブルックナーと同じく「森に迷う」感じではありますが、とにかく最後まで聴いていられる、そして聴き終わった後「よかったなあ」と思えるようにはなってきました。
 今聴いているのは歌曲集「詩人の恋」。歌っているのはご存知デートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ、伴奏のピアノはなんとあのホロヴィッツ。1976年、カーネギーホールの85周年記念コンサートのライヴ録音。「史上最大のコンサート」(原題は「Concert Of The Century」)と呼ばれた、カーネギーホールの運営財源基金設立のために行われたベネフィット・コンサートでの演奏です。このコンサートには上記2人の他、アイザック・スターンメニューイン、ロストロボーヴィッチなどが出演しており、オケはニューヨーク・フィル、指揮者はバーンスタインと、豪華この上ないものでした。CDは普通の2枚組ですが、77年に出たアナログは豪華なボックス入りで、解説の他に当夜に売られたプログラム冊子の現物(レプリカかな?)まで入った豪華版でした。僕はそのアナログを中学生のころお年玉をためて購入して、今も持っています。なにしろクラシックについてはまったく無知だったころ、上に挙げた巨匠の名前も、事実上このボックスで知り、聴いたようなものでした。
 収録されたもののうち「詩人の恋」は「一番よくわからず、一番聴かなかった」ものでした。歌声もピアノも悪いと思わないのに、やっぱりシューマンの音楽と自分にズレがあったんだと思います。今なら聴けます。そして、ちゃんと理解しているかどうかは不明ですが、とにかく感動します。2人ともすごいですが特にホロヴィッツ。あのホロヴィッツがディースカウを上手に引き立てています(ディースカウがちょっと不調なのが却って「巨匠の共演」という趣です)。歌伴を弾くホロヴィッツなんて珍しいですが、今聴くとその良さがわかります。
 正直なところまだまだ勉強の必要があるシューマンですが、せっかくの生誕記念の年、ちゃんと聴いてみましょう。最初に書いた音楽祭、プログラムの中にはショパンと同時代の音楽ということでシューマンも取り上げられたものがあります。それを聴いてみたいなあ。聴きに行こうかなあ。でもまず妻の同意が必要だ(笑)。我が家のクララは首を縦に振ってくれるかな(笑)?

史上最大のコンサート(カーネギー・ホール85周年演奏会)

史上最大のコンサート(カーネギー・ホール85周年演奏会)

 追記:上に取り上げた「史上最大のコンサート」収録曲はどれもいいです。特にチャイコフスキーラフマニノフ。ものすごい名演なのに、どちらも全曲演奏ではないんですよ(当日も単独の楽章のみの演奏だったようです)。特にチャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出」、これが全曲演奏だったら世紀の名演になっていたと思います。惜しい!口惜しい!演奏者は3人とも故人だし。ふう。