ストーンズ税を納める(笑)

 先日、結婚記念日の妻への贈り物としてDVD買いました。「のだめカンタービレ絵最終楽章 前編」(笑)。娘も含めて好きなんです「のだめ」。僕は劇場で観ましたが妻は未見だったので喜んでもらえました。内容は基本的に2年前のテレビスペシャルからの続き。事前に「ウィーンの楽友協会ホールで撮影!」といわれていたのでどんなものかと思っていたらいきなりオープニングでしたわ(笑)。ちなみにこのオープニングシークエンスはウィーンのあちこちが映っていて、新婚旅行でウィーンに連泊した僕たち夫婦には見覚えがあるところが多かったです。結婚記念日の贈り物としてはまあまあ当たりだったかも。
 ところでこの日は「のだめ」DVD以外にも買い物をしました。ローリング・ストーンズの「Exile On Main Street」のデラックス・エディション(国内盤2枚組で3,800円だったやつ)。すっかり大反響の、あの名作のアーカイヴ版。1枚目はもちろんよく知っている名盤ですが、2枚目のボーナストラックもよかったです。僕はブートレグにまで手を出すほどのストーンズマニアではないので、新発見ばかりでした。「ダイスをころがせ」(カッコイイ邦題!)の元歌とか、キースが歌う「Soul Survivor」(カッコイイ原題!)とか、ニッキー・ホプキンスの名演に泣ける「Following The River」とか、聴き応え十分です。アディショナル・セッションがあったらしいことが取りざたされていますが(ライナーでも寺田正典氏が丁寧に解説されています)、そのへんのことは熱心なマニアのみなさんにお任せして、気楽に楽しんだり感心したりしています。
 というわけで、もちろん買ったことには満足していますし実際楽しんでいるわけですが、肝心の本体はというと、高音質になったとされているもののそれほどとも思わず、というかそのへんのことはわりとどうでもいいというスタンスです。もっと有り体に言ってしまうと、オリジナルならLPでもCDでも持っているわけで(もちろん特に貴重なわけでもない再発LPにレギュラーフォーマットのCD)、ボートラを除くと「もう全部聴いている・知っている」ものばかりです。上に書いたように僕はストーンズに関しては網羅的に集めているわけではないのでボートラも今すぐに収集しなければときばったわけではありません。
 ではなぜ買ったのか?そう問われればもう「ストーンズが出したのだから」という気分になったから、としかいいようがないです。しかもあの名作のデラックス版といわれれば買わないわけにはいきません。こういう心理は、例えば僕の妻などにはまったく理解してもらえないものなんですが、どうしても買ってしまう。ロックファンとして買わなくてはいけない、そんな感じ。まさしく税金のようです。ローリング・ストーンズ税(笑)。すごい税ですよね(笑)。僕はこの程度ですんでいますが、人によっては2万円近い「アナログとかいろいろついたボックス」という税金を納められることもあると思います。ちなみにこのアルバム録音のとき、ストーンズが英国の重税を逃れるためにフランスに移住したことは有名ですが(ライナーにも書かれていましたぜ)、税金逃れする人達から「課税」されるって一体(笑)?僕の場合ストーンズ税はこの程度ですんでいますが、そのほか「ザ・フー税」(「Live At Leeds」何枚持ってるだろう?)「キング・クリムゾン税」(「宮殿」ボックス、結局セカンドプレス買っちゃいました。あの「顔」ジャケ、もう10枚超えたかも)とか、自慢じゃないですがいくつもあります。特殊な課税方式として「紙ジャケ税」「リマスター税」「初回限定生産盤税」「是非聴きたいボートラ1曲オマケ税」「初回限定でボーナスディスク付き2枚組税」「なんかいくつもフォーマットがあって全曲聴こうと思ったら9割ダブリを覚悟でコンプしなきゃいけない税」などあって、ホント困ります。
 しかも僕には最高税率ビートルズ税」というのがあって、これはもう逃れようがありません(笑)。メンバーのソロも時々デラックス版が出たりしますから大変です。もちろん「音」と「モノ」は入手できるわけですから納めっぱなしというわけではないですが、基本的にもう持っていて聴けるものに対価を払っているわけなので、非常に悩ましい、いや、ふと我に返ったときに「なにやってんだろ?」と思うことがあります(苦笑)。
 でも、なんだかんだいって楽しいんですよね、この納税(笑)。話しを「Exile」に戻しますと、僕はあのジャケットを初めて見たときにものすごく感じるところがあって、それが後に佐伯俊男丸尾末広への興味に繋がっていきました。そういうセンスを持っていたことを知らしめてくれたということだけでも僕はこのアルバムに恩があります。その恩返しだと思えば、「ふるさと納税」みたいなものかな(笑)?こうして我が家は(妻曰く)「同じモノばかり」で埋め尽くされていくんですね。はあ。このアルバムのライナーではストーンズが「タックス・エグザイル」になったことが書かれていましたが、僕たちファンはどうもうそう簡単にこの重税からは逃れられないようです。

メイン・ストリートのならず者<デラックス・エディション>

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