誕生日おめでとうリンゴ

 今日7月7日は、我らがリンゴ・スターの誕生日、なんと70歳になったそうです。
 ここ数年、いやここ10年以上に渡ってリンゴは非常に充実した活動を続けています。僕も折に触れてブログで書いたり、SNSで同好の人達と語り合ったりしてきました。残念ながらなかなかリンゴの努力は浸透しませんが、彼自身はマイペースを崩さずにがんばってくれているようです。
 今日は通勤のときに「Bad Boy」を聴きました。1978年発表のアルバム。このあたりからしばらくの間、リンゴは商業的にも音楽的にも苦戦することになるんですが、実はどのアルバムもそれなりに味わいのある作品です。このアルバムも地味といえば地味ですが、演奏も落ち着いていて曲もなかなか、リンゴのボーカルもけっこう聴けます。なにしろジャケットがいい。僕はアナログ盤も持ていますが(たぶんアメリカオリジナル盤)、カラフルだけれども渋い色合いとデザインで、LPサイズが嬉しくなるデザインです。シュープリームスの「Where Did Our Love Go」のカヴァーもあります。実のところ僕は、このアルバムで初めてこの曲を知り、後にシュープリームスを知ったクチです。
 リンゴのアルバム、最近はそこそこ入手できるようになってきましたし、配信などもされているのでひところのような飢餓感はないですが、それでもまだまだですね。アマゾンで見てみると、「Stop And Smell The Roses」「Old Wave」そしてこの「Bad Boy」あたりには中古にプレミアがついているようです(嬉しいことに「Ringo The 4th」や「Ringo’s Rotogravure」は現在入手可能になっているようです)。残念だなあ。79年代後半から80年代にかけての彼の作品は、いってみればよくできた「大人のロック」だと思います。
 ところで今日、上記の「Bad Boy」を聴き終わったあと、自宅まで歩いているときに「Ringo」に収録の「Six O’clock」も聴きました。作者はポール・マッカートニー、演奏とコーラスにも参加しています。ポールがこの曲で参加したことで「Ringo」に元ビートルズのメンバー全員が参加したことになり、大きな話題になったということも今では歴史の1ページですね。
 僕はこの曲大好きなんです。松村雄策さんがかつてこの曲を「『レッド・ローズ・スピードウエイ』のどの曲よりもいい」と評していましたが、僕も完全同意です。ポールのいいところが全部出たという感じで、ピアノにもシンセにも、もちろん曲にも彼の才能が溢れています。時期的には「Band On The Run」の直前くらいの時期、いよいよ「70年代のポール」が盛り上がってくるあたり、その上り調子がよくわかります。
 そしていつも思うんですが、この曲の歌詞って、ポールからリンゴへのメッセージに聞こえるんですよ。「君が眠りについたあと僕は涙を拭う/君がなんと言おうともう一緒にやっていくことはできない/僕は君に相応しい振る舞いで君に接することができなかった」(意訳です)なんて、ビートルズ解散前後のポールの気持ちのようです。少し勇み足で解釈を広げちゃうと、リンゴだけではなく、ジョンやジョージにも向けた心情吐露のような気さえします。意地っ張りでプライドもあるポールはそれを自作として発表することに躊躇して、リンゴに歌わせたと(苦笑)。そしてリンゴはいつもの彼らしく、ポールの気持ちを全部承知で、「気づかないふりして」歌ったのではないかなあ?ジョンの「I’m The Greatest」を誇大妄想のジョンになりきって歌ったリンゴが、「Six O’clock」ではポールの気持ちを代弁するように切々と歌っています。
 この曲の後半の歌詞「I know you would say you love my way/It’s good enough for you/But I know for sure, I could do more(僕のやりかたでよかったんだよと君はいう/それで十分だったと/でもそうじゃない、もっと違うやり方があったはずだ)」を読み、その箇所を聴くたびに僕は感動します。これこそポールが本当に心に抱いていた思いで、それをリンゴが歌にしている、深読みかも知れないですが、いつもそう思います。
 奇しくも現在健在のメンバーはこのリンゴとポールの2人だけです。リンゴのバースデーはもちろん、ポールの健在もお祝いしつつ、いつまでも2人が元気で活動してくれることを祈りましょう。
 誕生日おめでとうリンゴ。今年も元気でがんばってください。たまには日本にも来てくださいね。いつまでも待っていますよ。

リンゴ

リンゴ

Bad Boy

Bad Boy