化ける瞬間目撃 !!!ニューアルバム
今日はちょっと最近のバンドのことを寸評サイズで。
「!!!」ってバンドがいます。(チックチックチック)と読みます。まあ呼び方に関するちょっとしたお話しはあるんですが大したものではないので以下!!!とだけ表記しますが。このバンド、日本で紹介された直後くらいから知っていたんですが、どうもそれほど好きになれないバンドだったんですよね。嫌いではないんですが決め手がない。メディアが妙に持ち上げるものだからなおさら乗り切れなくて、ハイプじゃないの?と思っていました。正直に書いてしまうとワープのオムニバスやiTSで購入したライヴEPその他数曲くらいしか音は聴いていなかったんですが、どうものめり込めない。じゃあ忘れちゃえばいいかというと、ちょっとは気になる。いい感じではあるんですが、決め手を感じない。そんなふうな思いを抱いていました。
で、つい最近出た新譜「Strange Weather Isn’t It?」。これはよかったです。今までの!!!と違うのはリズム感。基本的にダンスチューン的なリズム処理(というか、ビート感)が支配しているアルバムですが、ちょっと聴くと単調に感じる部分がアルバム全体の統一感を醸し出しています。かなり凝ったスタジオワークですが、バンドの勢いを殺したように感じないのはこのリズム感がしっかりしていることと曲がいいことです。これは本当にいい。ちゃんとアルバム最初から最後まで飽きずに聴くことができます。変な表現ですが、ワープのアーチストやいわゆる「踊るロック」系のアーチストには、アルバム1枚聴き通すのが大変なものもありますので(誰とは申しませんが)これは貴重です。しかも上にも書いたように、基本的には同じようなビートの曲が並んでいるのにそうなんですから、曲の良さが際だっていると言って良いのかもしれません。若干メランコリックなメロディですが感傷的過ぎず、音楽の肌触り同様クールな感じなのがいいです。
長くロックを聴いていると、時々「バンドが化ける」瞬間というものを目撃します。僕が一番良く憶えているのはあのU2。アイルランドの若き求道者、というよりももっと青臭いバンドだったのが、「The Unforgettable Fire」から少し変化し、あの「Joshua Tree」で大化けしました。今でもあの「Where The Street Have No Name」のイントロを聴いたときの戦慄のような感動を忘れられません。以後U2はその巨大な規模を維持したまま、常に最も困難な「社会的存在とエンターテイナーとしての存在の両立」を成し遂げています。
!!!がそこまで到達できるかは不明です。そもそもそんなゴール目指していないかも知れません。でも僕はなんとなく、このバンドはこのニューアルバムで貴重な一歩を踏み出したのではないか、「化けた」のではないか?と思っています。次回作が楽しみなバンドがまたひとつ増えました。
Strange Weather, Isn't It ? [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC261)
- アーティスト: !!!,チック・チック・チック,Chk Chk Chk
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / WARP RECORDS
- 発売日: 2010/06/23
- メディア: CD
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