ネタバレ極力排除の感想「トイストーリー3」

 今日はあの「トイ・ストーリー3」を観に行ってきました。娘のドレミは満5歳にして初めての映画館体験です。素晴らしい作品でした。単体としても面白い作品でしたが、この一編が一種の「完結編」として機能していて、前2作を観ていたファンにとっては面白さも感動も格別なものになっていました。
 1作目から作品世界のバックボーンになっている「おもちゃは持ち主の歓心を得ようと腐心している」「持ち主の心変わりを何よりも恐れている」「いつかやってくる持ち主との別れの日を意識しながら生きている」に、ちゃんとある種の落とし前をつけています。子どもも観る映画ですからもちろんハッピーエンドで終わりますが、その流れは自然でした。アンディは素直ないい青年に成長していました。ラスト近くの「ボニーにおもちゃの紹介をする場面」で、アンディが自分のおもちゃにどれだけ愛着を持っていたか、そしてそれを見ながら僕は、アンディが幸福な子ども時代を過ごしたことを感じることができました。アンディがおもちゃと過ごした幸福な時代は、そのまま僕たち観客が第1作から今日まで過ごした時間と重なります。うかつに感想を書くとそもままネタバレしそうなのでこのへんにしておきますが、前2作を観て面白かったと思った方は観て損はないです。成長といえば、現在のアンディの部屋にはストラトキャスターと思しきギターと小型アンプがありました。とてもわかりやすい形で「子どもの成長」を表現していました。
 ところでいつもながら音楽が見事なピクサー作品。今回も良かったです。もちろんメインのコンポーサーはランディ・ニューマン。そして今回の主題歌担当はあのジプシー・キングス。ラテンフレーバーが印象的で歌詞も英語じゃない「You’ve Got A Friend In Me」、なぜ英語じゃないかはもちろん映画の中に答えがありますよ。そしてもうひとつ。劇中に使用される既存の曲がよかったです。どんな場面かは伏せておきますが、ゲイリー・ライトとシックが流れました。どちらもとても効果的な使い方。特にシックの方は大爆笑でした。
 もうひとつ、併映作品として「デイ&ナイト」という短編が上映されましたが、これもよかった、いや傑作でした。CGアニメってなんとなく手法はもう「了解済み」のような気がしていましたが、予想もしない方向からのアプローチ、そしてたった数分の作品なのに深く心に刻まれるものでした。真面目な話し、この作品はアカデミー賞の短編部門を差し上げたいくらいです。
 以上、可能な限りストーリーには触れないで書いてみました。最後になりましたが、声の主役はやっぱりあのお2人、唐沢寿明所ジョージ(敬称略)でした。よかった。そういう情報は知っていましたが、実際に声を聞いてホッとしましたよ。主役級の声優さんたちもみなさん勢揃いでした。名古屋章さんがいらっしゃらないのが残念でしたが、その名古屋さんの思いに応えるかのように、ミスター・ポテトヘッドは大活躍でした。長く作品を愛した人達の気持ちにも応え、作品世界の「時間の経過、人間の成長」とそこに込められた思いも大切にした、本当の傑作だと思います。見終わってからドレミに「どうだった?」と尋ねましたら一言「面白かった!」と答えてくれたことも含めて、いい1日でした。

 追記:エンドロールの「Special Thanks」に「Jeff Beck」の名前を見たような気がします。なにぶん一瞬でしたし、あの鈴木敏夫氏の名前を見つけてビックリしていたときのことでしたから定かではないんですが。なにか彼、関係しているんでしょうか?それとも僕の見間違い?