クロスロード・フェスの記事に感激

 今日出かけたら、本をなにも持っていないことに気づきました。いつもは最低1冊はなにか持って出るのに。僕は読む本がないまま外出すると死んじゃうので(笑)、昼休みに1冊雑誌を買いました、「プレイヤー」9月号。買った理由は単純。表紙がクラプトンでパット・メセニーの「オーケストリオン」特集が掲載されていたからです。パット・メセニーは今回置いといて(ものすごく詳細なハードウエア解説が素晴らしい!)、今回のお題は巻頭特集、そしてその中の何枚かの写真です。
 特集は6月に開催された第3回クロスロード・ギター・フェスティバルでした。写真も多く、時系列に沿っての解説もわかりやすくてよかったです。で、出演者の写真がなかなかよろしかったです。非常にシンプルに同じアングル・大きさで出演者を撮影したものばかりなんですが、基本的にみんなギターを弾いている姿なのでこれでOK。若手から大ベテランまでたくさんで見応えもあります。密かに大好きなケブ・モは実にカッコよく決まっていました。同じステージに立ったというアルバート・リーはとても珍しいギターを持っています。クラプトンとジェフ・ベック、クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドの共演写真ももちろん最高。サンバーストのストラトを下げたまま、まるでラジオ体操のようなアクションをしているロニー・ウッドの写真を見るにつけ、クロスロード・フェスの存在理由が身に染みます(皮肉にあらず)。
 そして個人的にとても感じ入ったのが3枚。1枚はあのバート・ヤンシュ。こんな人も出ていたんだ!ステファン・グロスマンと共演したと書かれていましたが、いったいなにを演奏したんでしょうね?実際の写真はごく普通の服装のごく普通の男性という感じですが、この人こそ伝説の人という気がします。ちなみにこのとき、本当ならあのジョン・レンボーンも共演するはずだった(ジョンの参加は取りやめになったそう)というのもものすごい話しです。そこだけでもぜひ観たかったと思いましたよ。
 そしてもう1枚はジョニー・ウィンター。イスに座ってギターを弾いているお姿は、帽子や両筆のタトゥーはいかにも彼らしいですが、とても歳とったふうで少し痛々しい印象です。記事でも「腰が曲がり足下もおぼつかない」「視力の衰えもあるようで、ミストーンの連発が痛々しかった」と書かれていました。昨年ある雑誌に「近年は健康状態に波があり」というようなことが書かれていましたが(継続して服薬中らしく、その薬が日本持ち込みできないために来日の機会がないとも書かれていました)、実際にこのようなものを観るとファンとしては胸が痛みます。遠く極東から健康回復をお祈り申し上げます。
 3枚目は大人気のジョン・メイヤー。写真自体はギターを弾いている姿ですが、目を惹くのはその弾いている楽器です。ストラトですがなにやらペイントされています。なんだ?見覚えがあるぞ?と思って調べたらわかりました。これはあのジミ・ヘンドリクスが1967年モンタレーで燃やした「アレ」でした。すごい。カッコいい!これ、わざわざ作ったのかしら?ジミもシグネイチャーというと、白いストラトは知っていたんですが、こんなものもあったんでしょうか?もしかしてフェンダーのマスター・ビルダーが作成したのかな?記事によればこのときのバックはスティーヴン・ジョーダンとピノ・パラディーノだったそうです。
 他にもたくさんのミュージシャンが紹介されていた記事でしたが、こうして観ていると、ブルースという音楽フォーマットが果たした役割の大きさとその変容を実感できます。日本でブルースを愛好するというと、一種の教条主義的な聴き方、受けとめ方が強く、いくぶん頭でっかちなところがあるんですが(もちろんそれも絶対に必要だと思います。僕の視聴センスもそういう部分が大きいですから)、大観衆を集めて炎天下で行われたこのフェスの模様を想像してみると、もっと大らかに音楽や歴史を受けとめ、次の世代・時代に渡していくという感じです。バート・ヤンシュが出演したということひとつとっても、このフェスの基盤が単純な「アメリカの大衆音楽ベッタリ」とは違う、敢えて言えば「ギターによる大衆音楽の祭典」的なものなのだと考えられます(そういえば過去にはジョン・マクラフリンも出ていましたっけ)。
 記事の感じでは、どうもこれからも開催される可能性が高そうな同フェス、本当に「ギターの祭典」になってくれたら嬉しいですね。最後になりましたが、上述のジョニー・ウィンター様、B.B.キング様、バディ・ガイ様そしてたくさんのベテランギタリスト様、どうぞお身体に気をつけて、次回のフェスでもお元気な姿を拝見できますように。

クロスロード・ギター・フェスティヴァル 2007 [DVD]

クロスロード・ギター・フェスティヴァル 2007 [DVD]