ラトルズの「隠れた名曲」
日曜日に、あるライヴハウスに知り合いのバンドを観に行って参りました。基本的にビートルズを愛する人達がそれぞれにビートルズを演奏するという一夜で、みなさんとても上手で楽しいひとときでした。
ところで数組出たバンドのうち、一組だけちょっと異色のバンドがありました。バンド名は「マウントバッテンズ」。このバンド、広い意味ではビートルズ系ですが、ちょっと違う。なんとこのバンド、(たぶん)世界唯一の「ラトルズのコピーバンド」なのです。
ラトルズについてはたぶんみなさん説明不要だと思います。このバンドというかあのアルバムとテレビ番組も、もう30年以上前のものなんですよね。早いものです(日本でアルバムが出て、テレビ番組が放送されたのが1978年だったはず。僕は中学生でした)。で、当時からビートルズファンからの支持は高かったラトルズですが、今ではそっち方面はもちろん、すっかり市民権を得た「モンティ・パイソン」マニアからの支持もあります。基本的には単発のプロジェクトだったもの(しかもビデオ普及前のテレビ特番)がこれほど長期に渡って評価されているというのは、僕たちはもっと驚いていいのかも知れません。僕は輸入盤ビデオや日本版DVDなど持っていますが、映像やセットなどは正直そんなにお金をかけている感じではないですね。むしろすごいのは着想、演出とそしてもちろん音楽。音楽についてはもろパロディという感じの曲(「Number One」や「Get Up And Go」)もありますが、ポップスとしてそれ単独で評価できるものも多いです(「Hold My Hand」「Between Us」など)。
僕が一番好きなのが「I Must Be In Love」。一応「Ticket To Ride」のパロディっぽいアレンジをされていますが、詞も曲も完全オリジナル。そしてその詞がいいんですよ。「いい気持ちなのにいやな気持ち/幸せなのに不幸せ/僕は恋をしているのかな?/そう、僕は恋をしているんだ!/1日中いつだって彼女に会えるんだよ/こうしてまぶたを閉じればね」という、実に甘酸っぱいラヴ・ソング。これぞポップスの基本形。明るい曲調なのに聴いていると胸に迫ってきます。さすがニール・イニス、大したものです。
全体的には「ここまでやるか?」と思えるような部分も多い「ラトルズ」ですが、意外にも楽しさ・後味のよさがあるのは、随所に(音楽にも強く感じられるような)「愛情」「敬意」「喜び」が感じられるからですが、その出所は「I Must Be In Love」などのような楽曲の質の高さなのかも知れません。
ちなみに日曜日に観たマウントバッテンズのステージでも「I Must Be In Love」演奏してくれました。最高でした。こういう「質は高くマニアックだけれど表現の敷居は低い・誰でも楽しめる」というのは、ラトルズだけに当てはまるのではなく、実は本家ビートルズにも当てはまるものなんだと思います。
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