切なくて嬉しい「第一位」

 11月ももう下旬ですね。あと何日かしたら、ジョージのあの日がやってきます。もう9年も経つのかと、毎年ひとつずつ数字を増やしながら偲びます。ポールがそしてリンゴが今でも活躍する現在、そこにジョージがいないことは、ファンとしてはやはり切ないものです。
 ところで。
 先週から一般紙にも取り上げられ大評判の「ビートルズ配信開始」ですが、今日になってこんなニュースが報道されていました。「アメリカでのビートルズダウンロードがアルバム45万枚、曲単位で200万曲を超えた」と、そういうニュース。
 これはすごいものですが、ビートルズ関連だとこの程度の数字は「予定どおり」ということになるのがさらにすごいです。 真面目にすごい。若い人達はどれくらい聴いてくれたかな?前回の日記やコメントでも少し書きましたが、僕は配信には肯定的な考えをもっていますし、新しい聴き手が手にしやすい形式になることでさらに間口が広がることは素晴らしいと思います。それに、今回は史上初「好きな曲を1曲単位で手に入れられる」ことになったわけで、これはきっとビートルズの聴かれ方にも影響を及ぼすのではないかと密かに思っています。「最初に聴いたビートルズはなに?」という「永遠の第一問」に「○○というシングル」「ラジオでこの曲を」「アルバムはこれです」という答え以外に「○○という曲」というダイレクトな回答も出てくるようになったと。
 よく「楽曲はアーチストが意図したとおりの順番で聴くことがアーチストの意思を尊重云々」というはなしを聴きますし、そのような聴き方にも尊重すべきものがあると思いますが(僕もiPodには曲単位ではなくアルバム単位で納めていますし)、まあそれはそれとして(笑)、きっとリスナーは新たな楽しみ方を見つけるでしょうね。そういうファンが育ってきて、リアルタイム世代の先輩方や僕たちリバイバル世代、CDから入って来た人達などと同じテーブルについてビートルズの話しをできるようになるのかもと思うと、ワクワクしてきます。
 といったところで、今日本当に書きたかったことを。上記のニュースではもうひとつ、具体的なことが書いてありました。「アメリカでの配信売り上げで、アルバムは「Abbey Road」が、曲では「Here Comes The Sun」がトップだった」と。
 僕はこれを読んで、とても切なく、そして嬉しく思いました。「Here Comes The Sun」はジョージの代表曲、そしてアルバム「Abbey Road」はそのジョージの貢献がなにより高く評価されている傑作です。それが、記念すべき配信開始直後に、最も多く聴かれたという事実。とても嬉しいです。ついに、そういう時代になったんだなあ。配信という最新式の楽曲販売の場で、ジョンでもポールでもなく、ジョージの曲がみんなの支持を勝ち取ったなんて。ジョージの命日に向けて、これ以上のことはないでしょう。
 ジョージ、このニュース、そちらに届いていますか?ビートルズの新しい聴かれ方が生まれ、みんな最初に、あなたの音楽を聴いていますよ。直接お知らせできないのが幾重にも口惜しいですが、これからもあなたの音楽はたくさんの人に愛されていくことでしょう。あなたがこの音楽を作ったときよりもずっと深く。

ABBEY ROAD

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