小ネタ スピーカーから流れる雑音の心地よさ

 今日は小ネタで。
 やっとこさ音が出るようになったうちのテレビとスピーカー。AVアンプ、BRレコーダーもあって合計3つもリモコンがあり、まだ操作に慣れていないせいでいろいろ躓きながらも、取りあえずテレビも見られ、BRディスクも観られています。昨晩は小ボリュームで見た「Crossroad Fes」も今日はそれなりの大音量で観ました。次から次へ登場する偉人名人にビックリ。酸素吸入器つけた状態でステージに立つヒューバート・サムリンや、「生きる伝説」かと思ったら見事にじっくりアコースティックの音色で現役ぶりを発揮していたバート・ヤンシュ(演奏したのは「Blackwaterside」という曲で、これはあの有名バンドが演奏していたアレの原曲じゃないですかね?ヤンシュははっきり「アイルランドの古謡」と紹介してました)。
 個人的に意外なほどぐっときたのはZZトップ。いつもと変わらないあのたたずまいなんですが、実に決まっていました。バックステージの映像も多く、たくさんのミュージシャンが行き来していたんですが、歩いていると必ず誰かに声をかけられ、そのたび笑顔で挨拶を交わしているのはロニー・ウッド兄貴、慕われているんだなあ。ディスク2枚組なのでまだまだたくさん見所がありそうです。
 ところで、こうしてこれを書きながら、さっきからCDを2枚代わりばんこに流しています。なんだと思いますか?答えは「バッハの無伴奏チェロ組曲」演奏しているのはパブロ・カザルス。録音はともに1938年。そう、これは2枚ともオリジナルのSPからの復刻盤なのです。同じ録音のものは以前EMIから出ていて持っていましたが、今回入手したのは1枚がグッディーズが制作および販売をしている「ダイレクト・トランスファー」シリーズのもの。これは実物のSPを理想的な環境で再生したものを、ノイズ除去などの処理をせずにデジタル化したものです。メディアはCD-R。このシリーズの特徴はなにしろ「再生音をそのまま復刻する」ということで、だから聴いてみるとあのSP特有のノイズが盛大に聞こえます。
 もう1枚はオーパス蔵が制作した復刻盤。こちらは状態のいい「盤」を探し出して再生し、ノイズ除去を「原音を損なわない範囲の最小限の使用に限定」(ブックレットの解説より)してのものです。どちらも音源は米Victor盤。偶然同じ日に入手したものなので、せっかくなので聴き比べしているのです。
で、どうだったか。
 数回聴いただけの印象ですが、オーパス盤は本当にノイズが少なく、音色、演奏の「解像度」は上がったような感じです。弦をこするニュアンスなども、今まで聴いていたものよりもよくわかるようになりました。これはこれで素晴らしいものです。以上、真面目な感想。
 で、それはそれとして、スピーカーの前に座っていて楽しいのは、ダイレクト・トランスファーの方なんですよ(笑)。これはオーパス盤と違って盛大にノイズが乗っていて、聴きづらいといえばそうなんですが、「俺は今SP聴いてる!」という気分が盛り上がるんですわ(笑)。いや、実際そのノイズと共に聴こえてくる音楽・演奏の良さも、オーパス盤同様ちゃんと伝わってきます。アナログ特有、SP特有のノイズがかえって脳の「オーディオ的に美しい音」に反応するところとは別のところを刺激しているような感じ(笑)。
 音楽鑑賞って絶対「純粋な音」だけではなく、他の環境や気持ちもコミのことでしょうから、こういうことも「アリ」かも知れないですね。配信音源でもなんでもそうですが「何を聴くか」と同時に「いかに聴くか」も重要な要素だと。いや、今夜は断言はしませんよ、なにしろ本当にお楽しみのために聴いただけだから。どちらも買って損はなかった、そういうことでひとつ(笑)。
 それにしても僕の所得からいうと高い買い物してBDレコーダーにAVアンプにスピーカーまで揃えて、SP復刻盤聴いてりゃ世話ないですかね(笑)?