ザ・ホワイト・ストライプス解散に思う

 フー・ファイターズの活動再開、新作録音についての詳細なニュースが入ってきて喜んでいたら、ほぼ同時にちょっと寂しいニュースが入ってきました。ホワイト・ストライプス解散。
 公式サイトに2月2日付で「正式に解散し、今後は新録音もライヴも行いません」と声明文が掲載されました(こちらです)。すでに多くのメディアで速報されています。
 僕が彼らを聞き出した当初は、奇妙なメンバー構成で奇妙な音楽をやるなあという感想だけだったんですが、そうした部分に慣れてくると、その音楽からはむしろ正統なブルース的なものを感じるようになりました。結果的に最終作になった「Icky Thump」についてこのブログで取り上げたときも書きましたが(こちらです)、あの独特なねじれたような音楽は、21世紀におけるブルース解釈の、ひとつの可能性を示したものだと思っています。ちょっと嫌みな書き方で恐縮ですが、彼らの音楽は、最近のクラプトンの音楽よりもよほどブルースの大樹の幹に近いところにあると感じていました。
 で、そういうバンドが解散する。僕は本当に残念に思います。ここ数年は、病気やサイドプロジェクトなど、いろいろあるんだろうなあと思わせるニュースが多かったですが、乗り越えてくれると信じていました。いや、正直にいうと、解散までしてしまうほどのことがあったのかと驚きました。上記声明文にある「メグもジャックも心身ともに健康です」という言葉も、なんだか額面どおり受け取っていいのか迷います。そう思ってしまうほど彼らの音楽は素晴らしかったし、評価も人気も高かったからです。彼らのようなバンドには長く活動してほしかった。そして、若い音楽ファンだけではなく、先輩にあたる世代にも聴かれる音楽として、ある種の「架け橋」になってほしかった。
 声明文の最後の方には「ホワイト・ストライプスはもうメンバーだけのものではなく、ファンのみなさんのものでもあるのです。芸術や音楽の美はそれを欲する人がいる限り永遠の命を持っているのです」という言葉が綴られています。実情はどうあれ、その美しい言葉は彼らと彼らの音楽に相応しいものだと思います。その言葉どおり、ずっと元気にがんばってほしかったなあ。それが正直な気持ちです。
 最後にジャック、メグへ。信じられない知らせに戸惑っていますが、これからも元気にがんばってください。ただの新作ロックではなく、単純な伝統回帰でもない、ブルースをスタイルではなく心で奏でた真の芸術として、あなた方の作った音楽はまさに「last forever」だと信じています。本当に、今日までありがとう。

Under Great White Northern Lights

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