ドラムを歌わせる偉人たち

 米「ローリング・ストーン」誌が「Readers Pick best Drummer of All Time」という読者投票の結果を発表していました。
 第1位はもう当然というところですがジョン・ボーナム。そして堂々の第2位は我らがキース・ムーン。もうひとり「我らが」リンゴ・スターは第5位です。白人系の人が多いというところがロック雑誌の人気投票らしいですね。実際の順位はサイトを見ていただくとして(こちらです)、大御所ぞろいのメンツのなかにデイヴ・グロールがいるところが興味深いです。今やすっかり「現代最高のバンド」のリーダーである彼がドラマーとしてもこんなに高い評価だなんてすごいです。正直に書いちゃうと、「こんなすごい面々に連なるほどにすごかったかな?」と思わないこともないんですが(総合的な音楽の才能ではもちろんトップであることに疑いはないですけれどね)、こういう声が高いということが、彼の音楽家としての人生が素晴らしいことの証明にもなっているんでしょうね。もうすぐ出るというフー・ファイターズの新譜、楽しみです。
 個人的に嬉しいのは第3位(ボンゾとキースの次だよ!)にランクインしているニール・パート。以前このブログでも書きましたが、なぜか日本でもうひとつの人気に甘んじているラッシュですが、こうして海の向こうではちゃんと評価されているんですね。ローリング・ストーンのサイトでは動画も見られますが、ものすごい数のタムを並べたセットを、まるで歌を歌うように奏でる彼にはため息がもれてしまいます。テクニックのある演奏家というと「人間味に欠ける」みたいな紋切り型の評がつきまといますが、これこそ名演奏でしょう。実際この投票にはバディ・リッチまで登場しますが、みんなそれぞれのやりかたで「楽器を歌わせることができる」人たちだと思います。ドラムというと体力勝負という先入観があってなかなかそういうふうには受け取りにくい部分もありますが、膝を正して聴いてみると、結局楽器演奏は「なにを」ではなく「いかに」なんだと実感します。
 このニュース、昨日ネットで知ったんですが、偶然昨日は家で1人、久しぶりにゼップの「Coda」を聴いていました。ヘッドフォンではなくけっこうな音量で「Bonzzo’s Montreux」を聴いたときの快感と興奮はものすごかったです。そして今はビートルズの「Past Masters」を流しています。ちょうど今「I Feel Fine」が始まりました。この曲はリンゴのドラムが最高に決まったもので、個人的にはビートルズ時代のリンゴの名演のひとつだと信じています。ボンゾとリンゴ、どちらの演奏も見事に「歌って」います。この「歌」こそが、僕たちを何十年も夢中にさせる理由なんでしょうね。

Coda

Coda