「本物」ジョニー・ウィンター 4.15ZEPP TOKYO

 ほぼ定刻に客電が消え、大歓声のなかバンドが登場、ブルースショーらしくバンドだけの(きびきびした)イントロダクションに導かれて、いよいよジョニー・ウィンター登場。もう事前に知っていましたが、本当に背が曲がり歩みもおぼつかない感じ。というか実をいうと、あまりに背が曲がっていて僕はほとんどお姿が見られませんでした(スタンディングだと背の低いオジサンはほんと不利)。しかもウィンター老師、イスに座っての演奏なのでなおさら、コンサート中は本当にチラッと見えた瞬間が数回あっただけでした。
 そんな、決して良くはない鑑賞コンディションでしたが、演奏自体は本当にすごかったです。バンドの演奏も若々しくてよかったですが、それ以上に老師の演奏!さすがにボーカルは年齢相応の部分がありましたが、ギターが正真正銘「あのジョニー・ウィンター」でした。音色もメタリックだしフレーズも攻撃的、なにより今でも突っかかってくるような「前のめり」なフレーズと指使いで、「枯れたブルースの味わい」なんてものからはかなり遠いものでした。曲はいきなり「Hideaway」から始まり「Good Morning Little School Girl」まで披露してくれるサービスぶり。ジョニーの定番ナンバーのオンパレードでしたが、演奏が荒々しく「マンネリ」っぽいムードは皆無でした。
 中盤ではあのマディの名曲「Got My Mojo Workin’」と「Johnny B. Good」を立て続けに演奏してくれましたが、このときの盛り上がりはすごかったです。後者はもちろんですが(まさしくジョニー賛歌でした)、前者でのサビの大合唱は感動モノでした。日本でこれができるなんて、しかもジョニー老師のコンサートでなんて、夢にさえ見なかったものです。後半も「Don’t Take Advantage Of Me」は演るは「It’s All Over Now」は演るは「Bony Moronie」は演るは、大盤振る舞い。「Don’t Take〜」では「Sunshine Of Your Love」のリフが入り、そのままなんと「Gimmie Shelter」のサビでエンディングを締めるという破格のサービス。もちろん大歓声です。
 演奏自体は奇を衒ったところのないホワイトブルースでしたが、上記したとおり必要以上に枯れたところがなく、僕たちが知っている「あのジョニー・ウィンター」でした。見た目とのギャップ(いや、実際はほとんど見えなかったですがw)がおかしいほどでしたが、もっと落ち着いた演奏でも満足するつもりだったのが、嬉しい誤算でした。選曲はファンには馴染みのあるレパートリーでしたが、それはある意味ブルース、ロックンロールの歴史をそのまま再現するような趣きがあるものでもありました。考えてみたらジョニー老師はその時代、その歴史を実際に生き抜いてきたわけです。年齢や健康状態では全盛期に及びませんが、音楽家という意味ではまだまだ「攻め」の気持ちが消えておらず、それがギター演奏に強く感じられました。細かく言えばミストーンと言えなくもない瞬間もありましたが、全体的には全然問題なし。本当にギンギンでした。
 アンコールで登場したときに一際大きな拍手と歓声。チラッと見えたあのシルエットはまさしくギブソンのファイアーバード!遂に登場!これを待っていたんです。一音弾いただけで会場の空気が変わるような音色(と、音のデカさ)。曲は2曲「Dust My Broom」と「追憶のハイウェイ61」(思わず邦題書いちゃいました)!あの「Captured Live」と同じテンポ同じですよ「61」。もう本当、信じられませんでした。ファイアーバードでのスライドプレイも実にソリッドで、少しも守りに入らない「攻撃的」演奏。バンドの演奏、音色、音量もあの名作ライヴを彷彿とさせるもので、本当「刮目すべき」若々しさと荒さを(いい意味で)感じました。
 こういうコンサートを体験すると、やっぱり「本物」の持つ力はすごいと、手放しで賞賛するほかないと思います。そう、僕は昨日、本物のブルースロックを、いや本物のブルース、本物のロックンロールを体験したと断言できます。それにしてもすごかった。昨年の「プレイヤー」誌のレビュー以来心配していたのが不思議なほどです。この時期に来日してくれたことも含めて、心からの賞賛と感謝をジョニー老師に捧げたいと思います。
 ジョニー、本当にありがとうございました。あなたは正真正銘の「本物」です。待望の初来日でしたが、僕たちはいつでもあなたを大歓迎しますよ。健康に気をつけ、またいつか必ず来てください。次に来られるときにはもっと居心地のいい国になっていることでしょう。そのために僕たちもがんばります。どうぞいつまでもお元気で。最後にもう一言「Go Johnny Go!」、ありがとうございました!

Live

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Captured Live

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