ジュリアン・レノンの新譜は名作だ

 ジュリアン・レノンの、もう何年ぶりだかわからないほど久しぶりの新譜「Everything Changes」がとてもいいです。とても落ち着いた、この季節に相応しい作品。ちょっと曲調が似たものが多いかな?と思わないでもないですが、無理矢理バラエティに富んだふりをしない、自然な魅力のバラードが多いアルバムになっています。
 聴いたみなさん思われるでしょうが、もちろん音作りはお父さんに一脈通じるものになっています。が、もうそれは当たり前。ジュリアンの場合、そうした要素は彼を評価する方向でもクサす方向でも強く作用してきましたが、この程度の似方だったら今時珍しくもない。「Valotte」のころはともかく、今ではしっかりとジュリアンの個性といえるでしょう。少しウエットな歌詞とボーカル、陰影のあるメロディ。名作といっていいアルバムです。
 でも、あんまり世間様騒がないんですね。僕が気づかないだけかな?デビュー当時はプラスに作用した「ジョン・レノンの息子」というレッテルはその後ずっと彼の活動をスポイルしてしまっていて、誰も彼の音楽を先入観なしに聴くことを難しくしてしまっているのかも知れません。前作(だよね?)「Photograph Smile」もいい作品だったのに結局大きな反響は得られなくて残念でしたが、今回もそうなってしまうとしたらとても惜しいです。彼はもう誰それの息子だからどうだというレベルを超えて、ひとりのアーチストとして評価されるべき存在に成長していると思います。
 これをお読みで少しでも興味を持たれた方は、ぜひこのアルバム聴いてみてください。派手さはないですが、奥行きのある美しい、彼だけに表現できる音楽がそこにあります。

Everything Changes

Everything Changes