10年目の11月29日

 今日は11月29日、ジョージ・ハリスンの命日。もう10年たってしまったんですね。以前書きましたが、10年前(2001年)は、僕にとって公生活上での転機になった年でした。そのときは気づきませんでしたが。なのでジョージの悲しい報せを思い出すと、そのころのことも同時に思い出されて、ちょっと複雑な気持ちになります。
 僕がジョージの悲報に触れたのは桑田圭祐さんの、あのAAAコンサートの会場でした(記憶が確かなら日本時間では30日)。その年のAAAコンサートは、ジョン・レノンの曲ばかりを演奏しながらビートルズの歴史を再現するというもので、コンサート自体は今でも「よかった」と思えるものでしたが、そのコンサートの冒頭、桑田さんの口から「ジョージが…」と聞いたのです。その言葉のあとにみんなで黙祷を捧げたんですが、そのとき会場には「Here Comes The Sun」が流れました。正直そのときは「亡くなったというのに、この選曲はちょっと…」と思ったんですが、今では素晴らしい選曲だったと思っています。この曲を選んだ桑田さんのセンスはさすがです。
 今秋はスコセッシ監督の伝記映画が公開されましたね。時間がとれなくて未見なんですが、いい作品という評判です。この10年で、ジョージに対する評価も「ビートルズのナンバー3」ではなく、ひとりの偉大な音楽家ということになってくれて、ファンとしては嬉しいです(まあ、3年前のベストの選曲はナニでしたが)。ジョージは決して派手なミュージシャンではないですが、その質の高さと独特の美しさが、少しずつこの世界に満ちてきた、そんな感じです。
 今日はiPodにジョージの曲を入れ、仕事の行き帰りに聴きました。どのアルバムもいい、どの曲もいいです。そして僕にとっては、どの季節に聴くよりも、ジョージの曲はこの時期(晩秋から冬にかけて)に聴くのがしっくりします。実際は一年中聴いていますが、この時期の冷たい空気の中で聴くジョージからは、他のミュージシャンからは得られない不思議な暖かさを感じます。「All Things Must Pass」から「Cloud 9」まで、どの作品、どの曲からも。
 ありがとうジョージ。あなたを愛し、あなたの音楽を愛することで、僕は本当に豊かな体験をさせてもらっています。節目の年である今年も、今日1日あなたの音楽とともに過ごしてきました。本当にありがとう。これからもずっとあなたを愛し続けるでしょう。あなたの創った不滅の音楽とともに。