神奈川フィルのコンサートに行ってきました

 先週は突然風邪でダウンしてしまい、週の半分寝込んでいました。予想外のことで仕事も含めてめちゃくちゃになってしまいました。この歳で都合5日も寝込むと心身ともに辛いです(苦笑)。みなさん、どうぞお気をつけ下さい。
 なんとか復調した週末、久しぶりに親子で外出。神奈川県民ホールに行って参りました。神奈川フィルハーモニー管弦楽団主催の「神奈川フィル・ポップス・コンサート 真夏のオーケストラ・ファンタジー」というコンサートを聴きに。
 これはタイトルどおり、通常のクラシックのプログラムではなくポップスオーケストラという体裁で行うファミリー向けのコンサート。3歳以上なら入場可能ということで、会場は親子連れでにぎわっていました(3世代連れという感じの方も多かったです)。
 内容はというとディズニーメドレーやルロイ・アンダーソンの曲など、明るくて楽しいものを中心としたものでした。ゲストにあの井上あずみが登場して「となりのトトロ」などを歌ってくれたのもよかったです。コンサート中盤には指揮者(藤野浩一氏)によるオーケストラ楽器の紹介などもあって、子供たちにも楽しく学べる内容になっていました(いや、オトナにも勉強になったかな?それぞれの楽器を単独で聴く機会ってそんなにないですからね)。金管の響きがとてもよかったのが印象的でした。特にホルンはすごかったな。
 娘のドレミはもちろん「生まれて初めて」のオーケストラ体験でしたが、どうもちゃんと受け止めきれていないようで、心から楽しめたという感じではなかったのがちょっと残念。でも最初はこんなものかな?「また行きたい」とは言っていたので、おいおい慣れて来るでしょう。
 で、例によって物販CD、買いました(笑)。金聖響指揮の「復活」2枚組と、ハンス=マルティン・シュナイト指揮「田園」のライヴ盤。「復活」はまだ聴けていないんですが、今日になって聴いた「田園」は名演でした。特に新機軸を掲げたようなものではなく、非常に実直な内容ですが、とてもいい、聴いているとジワジワ感動できる演奏でした。ミューザ川崎で行われたという録音も上質です。「田園」は70年代のベームを始め、たくさんの名演CDを所有しているので、僕にとっては「まあ、聴き比べ」程度の意識で購入したんですが、意外なところ(失礼!)に名演がありました。すごい得をした気分です。
 現在神奈川フィルは存続の危機にあり、新公益法人移行のための基金をつくり、募金を呼びかけているところです。こういうご時勢、オーケストラを運営するのは大変でしょう。僕も会場でささやかながら募金させていただきましたが、そういう動きのなかで今回のようなポップスコンサート企画も出て来たのではないかと思います。なんとかがんばってほしいですね。
 僕は個人的に、今回のような「乳幼児でも入場オッケー」なクラシックコンサートが増えてくれたらいいなあと思っています。演奏する側も聴く側もみんな納得して、そういう空間を楽しむのです。無理なことだとは思わないけれどなあ?実際問題、我が家のような「子育て中共働き」で夜子どもの面倒をみてくれる人がいない場合、コンサートなどまったく行かれないわけです。僕だって普段は行かれません。そういう人たちでも思い立ったら聴くことができる環境を提供することが、長い目で見れば地域に定着し、ファンを増やすことに繋がるのだと思います(それに、もしそういう家族がコンサートを聴きに来たら、入場券は最低でも2枚以上売れるわけですからね。我が家だと大人2枚子ども1枚です。僕だけ行くより実入りがあるでしょ?)。
 今回のもの以外で、僕は過去数回、そういうタイプのコンサートを経験したことがありますが(いずれも少し特殊なテーマのコンサートでしたが)、音楽鑑賞環境の多様性について「こういうことも可能なのか」と思い至る機会にこそなれ、「全然音楽が聴けなかった!やっぱり子どもは邪魔だ」なんて思いませんでした(上記いずれも、自分に子どもが生まれる前なので、僕は単独で観客席にいました)。静かに聴きたい方にはその機会を、そして、より多くの(ふだんならクラシックのコンサートからは排除されてしまうような)人たちにも楽しんでもらう機会もある、そういう環境づくりにも、我が国におけるクラシック鑑賞の地盤に、よりいっそう太い根をおろす可能性があるのではないかと思います。
 昨日買った「田園」のCDは名作でした。こうした名演を実際に会場で聴けた方は幸運だと思います。そうした機会が、いつも地域にあるという幸福を実現するために、オーケストラも、そして「未来の観客」たる僕たち聴衆もいろいろ考えていく必要があるのかも知れませんね。
 追記 神奈川フィルのサイトはこちらです。上記の基金についても紹介があります。興味のある方はご覧になってみてください。