「特撮博物館」に行って来ました

 遅ればせながら行って参りました。東京都現代美術館で開催中の「特撮博物館」。詳細は説明不要ですね。あの庵野秀明氏と樋口真嗣氏が監修した、特撮映画で使用されたミニチュアを展示した大展覧会です。会場は超満員で展示品を観るだけでも一苦労という感じでしたが、これはもう、僕には最高の展覧会でした。
 「ミニチュアで見る昭和平成の技」というサブタイトルは伊達ではなく、本当にたくさんのミニチュア、ヒーローのマスク、プロップなどが並んでいました。「わだつみ」「ムーンライトSY-3」「ウルトラホーク1号」「ガメラのヌイグルミ」「特撮美術倉庫」など、思い入れ優先モードで列挙してもキリがないほど。2つだけどうしても書きたいものがありまして、ひとつは「オキシジェン・デストロイヤー」。目に入ったときは本当に体が固まりました。説明不要だし、きっとたくさんの人に共感してもらえる感慨だと思います。そしてもうひとつは「マイティジャック」。なんと一部屋使っての展示でした。3メートルの巨大「MJ号」ミニチュア(変な表現かな?)、ピブリダーやエキゾスカウトのプロップ、たくさんの設定資料。こんなに厚遇してもらえるなんてすごい。そして成田亨氏による美しい(MJをモチーフにした)油彩画。制作年は1980年代となっており、放送からかなり時間が経ったあとだということも僕には感慨深いものでした。
 ところで今回の会場で成田亨氏の業績にはたくさんのスペースを割いて紹介されていましたが(当然ですね)、壁にある文章が掲げられていました。それは1980年代に氏によって書かれたもので、文章の後半は特撮業界(正確には円谷プロ)が商業ベースに乗ってしまったことを批判するものでした。特撮ファンはよく知っていることですが、ウルトラマン、セブンなどであれほどの業績を残した成田氏は、後年は上記のことが原因で円谷プロと袂を分かち、批判的な発言をされていました。どういう経過でこの文章が掲げられたのかはわかりませんが、円谷プロも全面的に協力しているこうした展覧会でそうしたもののひとつに接することになったのはまさに奇遇でした。あまり目立たないものでしたが僕にとっては印象深く、これによってこの展覧会に不思議な奥行きを感じるようなものでした。
 話題の映画「巨神兵東京に現わる」は前評判どおりのもの。吠える犬までミニチュアで表現したスタッフの熱意と技術に感動!でした。展覧会の目玉であるこの映画については、メイキングの様子をルポした映像も上映されており、その「プロの技」と同時に、現場で働く人達の楽しそうな様子も垣間見ることができました。これも大きな収穫でした。
 最初に「昭和平成」と書きましたが、実際は昭和のものが多く、その意味では大人向けの展覧会だったと言えます。なんですが、展覧会のあちこちに子供たちがいて、展示品に歓声をあげたり、映像に合わせてポーズをとっている光景も見ることができました。そうした光景を見ていると、特撮のもつ普遍的な魅力や感動を実感できます。少し大げさに言えば、特撮の現場は日本の技術とチームワークの体現のひとつと言えるかもしれません。これからもそうしたものは(形を変えようと)受け継がれていってほしいものだなあと、かつての少年、「怪獣映画」が大好きだった元少年として強く思いました。

ゴジラの音楽――伊福部昭、佐藤勝、宮内國郎、眞鍋理一郎の響きとその時代

ゴジラの音楽――伊福部昭、佐藤勝、宮内國郎、眞鍋理一郎の響きとその時代

ショップで購入した本です。

 追記 展覧会には家族3人で行きましたが、特撮には特に興味のない妻はマットアローもシルバー仮面トリプルファイターもなにも知りません。「ウルトラマン以外で知ってるものはあった?」と尋ねたところ答えは「ボーンフリー号は知ってたよ」とのこと。なんでそんなマニアックなところ知ってるのかと思ったら「子どものころ、うちにおもちゃがあったのよ」だって(笑)。
 追記2 展示品の主だったものには「庵野館長のコメント」というプレートがありましたが、マイティジャックのコメントに「あと、なんといっても音楽、特に主題歌ですね。素晴らしいの一言です」とありました。100%同意!であります。冨田先生!
 追記3 ショップはまさに「大きなお友だちのパラダイス」状態。巨神兵ガシャポンは大人が群がっていました。僕は3個だけ買ってダブりなしの成績(レアバージョンはなかったけど)。ちなみにショップでDVDとか書籍とか買い漁っちゃいました。合計3万円ほど。バレないように会計に並んだのに、払うときにドレミに見つかり、「ママ〜、パパ、サ・ン・マ・ン・エンも出してたよ〜!」と大声でチクられてしまいましたとさ(笑)。
 追記4 書き忘れていた!図録の最後のページにあった謝辞のなかに「なべやかん」というお名前があったのが個人的にツボでした!