会田誠展を観て参りました。

 昨日はひとり六本木に「会田誠展 天才でごめんなさい」を観て参りました。作品内容がいろいろ際どく、抗議を受けたり「18禁エリア」が設置されたりと話題になっていた展覧会、以前からまとめて作品を観てみたいと思っていた作家だったので、ワクワクしながらの鑑賞でした。
 内容は非常に多彩で、主題も技法も様々というか、あえてやった未整理、無秩序という感じで、僕としては面白い作品群でした。
全体としてはいくぶん(露悪的に)グロテスクなものが多く、作品一つ一つだと際どい印象のものが多いんですが、それがたくさん並ぶことでいつの間にか鑑賞者側がそれに慣れてしまい、大きな作者の世界に引き込まれていく感じなのは、ポップアート的でもあったかな?
 戦争画をモチーフにした作品群があり、それは見応えがありました。戦争、分断、そして震災といった一種「世界が受ける試練」は戦争画に限らずどの作品、どの部屋からも感じるものでした。技法も内容も多様なその作品は、露悪的・諧謔的な意匠ではありましたが、どれも非常に重く、そしてそれが鑑賞者に伝わってくるような性質のもので、たぶん作者の主観よりもずっとシリアスで厳粛な表情を見せていたと思います。ビートルズファンならドキリとする「イマジン」という作品もありました。
 有名な「群娘図(ぐんじょうず)」が見られるかと楽しみにしていたんですが、それはなかった。個人蔵だったからかな?ちょっと残念。ポストカードはあったので、それを買って帰って来ました。
 ひとつ気になったのは、作者本人による作品解説がたくさん(壁に)あったこと。必要だったかな、これ?そんなに誤解を恐れているんだろうか?僕は正直トゥーマッチでした。事実、その内容によって作品鑑賞が誘導されてしまうという部分もあったかと思うので、その点でも残念です。それも含めてのアートかな?とも思いますが、特に戦争画など、どうもミスリードっぽい部分もあり、そのへん意識的なのかどうかは測りかねます。作品自体が十分饒舌なんだから、そこに浸らせて欲しかったな、とおもいます。いや、作品自体は「好み」なんすけどね。