コンサート評 リンゴ・スター&オール・スター・バンド(東京)

 前回書いたとおり、行って参りましたリンゴ・スター&オール・スター・バンドのコンサート!場所はZEPP TOKYO
 前回の日記にも書きましたが、本当に楽しいコンサートでした。オープニングは「Matchbox」(ポールも初来日時に記者会見で演奏していましたね)続いて「It Don’t Come Easy」「Wings」とリンゴの曲で畳み掛けます。盛り上がったところで各メンバーの代表曲を織り交ぜていくのはオール・スター・バンドの定番ですね。過去2回の来日時に比べてメンバーが絞られていたのがいい方に作用して、印象のブレない進行でした。
 客観的に見ると、やはりスティーヴ・ルカサーの活躍が目立ちましたね。最近アルバムを出したばかりでコンディションがいい感じの彼は予想どおりのプレイで何回も喝采を浴びていました。サンタナの曲では当然のようにカルロス御大のパートを弾きましたが、コピーすべきところはコピーしつつ、ちゃんと自分の音色と演奏でやり切っていました。
 対してトッドはもっとリラックスした感じ。ギタリストとしては複雑なパートをスティーヴがやっているのでそこは任せていたようで、その代わりと言ってはなんですがステージ上を動きまわってみんなを鼓舞しているようでした。自分の持ち歌でないときも表情豊かで、楽しいムードを醸しだしてくれていました。頻繁にギターを持ち替えてしましたが、「I Wanna Be Your Man」ではあのサイケSGも披露してくれました。
 そしてもう一人の英雄グレッグ・ローリー、この人は凄かった。当然サンタナの曲をやったわけですが、本当に「あのオルガン」の音色を聴けたんですよ。「Black Magic Woman」は当然ですが、「Everybody’s Everything」まで演奏してくれたのには感激しました。他の曲でもしっかりしたバッキングで、演奏を「支える」役割でも手抜きなし(それは他のメンバー全員そうでしたが)。
 リチャード・ペイジには個人的に思い入れがなかったんですが、よかったなあ。歌声もよかったし(TOTOの曲などでも高音部は彼が歌っていました)、ベーシストとして、アンサンブルを支えていました。オール・スター・バンドを観るときの楽しみのひとつ「馴染みのないミュージシャンを観られる」について、今回僕の最大の収穫は彼でした。「You Are Mine」は感動的でしたよ。
 演奏を支えているグレッグ・ピソネットとマーク・リヴェラもみんなよかったです。サックスを吹きながらステージ前方まで来るマークはもちろんですが、後方のドラムセットでガッシリ叩き続けるグレッグも素晴らしい出来。安心して聴いていられるプロのクオリティでした。リンゴとのツインドラムも決まっていましたね(ちょっとぶっちゃけちゃうと、難しいパートはグレッグが担当していましたw)。
 そしてもちろん我らがリンゴ。両手を上げ「ピース&ラヴ!」と呼びかけながら代表曲を歌い、ドラムを叩く彼が悪いわけありません。72歳とは思えない引き締まったルックスでした。最新作「RINGO2012」からも2曲歌ってくれましたが、この「現役ぶり」が僕には嬉しかったです。「Anthem」歌ってくれたんですから言うことなしです。
 上に「メンバーを絞ったのがよかった」と書きましたが、過去2回の来日時の、どこか散漫な印象がなくなり、ひとつのコンサートとしてタイトなものになっていました。それは僕達がこのバンドの意味や楽しみ方を理解したためでもありますし、アンサンブルがかなりこなれていたためでもあると思います。僕は26日はかなりステージの近くで(もみくちゃになりながら)観られたんですが、メンバー各自がいつも楽しそうに、アイコンタクトなどを交わしたり、時には実際にそばに寄ったりしながら演奏している様は、観ていて楽しいという以上に、バンドが良好な状態であることが感じられました。バンドも観客も幸せな気持ちになれる、本当に素敵なコンサートでした。
 アンコールなしだったコンサートのラストは、きっちり予想どおりの「With A Little Help From My Friends」、バンドと観客のコール・アンド・レスポンスで曲が締められたあと、そのまま「Give Peace A Chance」のコーラスに突入、大合唱でお開きとなりました。約2時間。
 事前にはいろいろ言われていたライヴハウス公演でしたが、蓋を開けてみたら東京は2日程ともソールドアウトで超満員、ステージも近く、みんな一体となって素晴らしい音楽を楽しめるものでした。リンゴの過去2回の来日公演を比べても特筆すべきものだったと同時に、日本におけるビートルズ史においても、語り継がれるトピックになったと思っています。両日スタンディングだったので少々疲れてしまったし、初日に長時間野外で待っていたせいかちょっと風邪気味にもなってしまいましたが、そんなことさえ思い出の一部になるような、最高の時間でした。リンゴ、そしてオール・スター・バンドのみんなありがとう!いつまでも元気で素晴らしい演奏を続けてください。また会える日をずっと待っていますよ!

追記:急に思い出しました。26日にリンゴ、ベラキスのTシャツを着ていました。いいね、お祖父ちゃん♪