アナログがよく似合うスタカンのアメリカ盤

 このところmixiの方にはさんざん書いてきたネタなんですが…。
 10日ほど前にアナログプレーヤーをセットしました。特別な理由や動機もなく、まさに気まぐれで繋いだ(僕の家のAVアンプにはPHONO端子がついているのです)ということなんですが。普通ならすぐに妻あたりから「撤去命令」(笑)が出るんですが(前例ありw)、今回はなんとなくまだ出ないのをいいことにずっとそのまま。そして、改めてアナログ再生にハマっています。
 このブログでも何回も書いてきたとおり、僕は音楽再生における「フォーマット」に大きなこだわりや基準はもっていません。最高の再生環境でもないのでそれなりの音質だし(どれを聴いてもね)、あくまでワンノブというものなんですが、なぜか今回はハマり続けています。
 なんというか、楽しいんですよね、再生の行動が。ジャケットから取り出し、ターンテーブルに乗せ、クリーナーでホコリを取って針を落とす。A面が終わったら盤をひっくり返し、再び同じ作業を行う。聴き終わったらジャケットにしまう。その行動が、今回楽しくてしょうがない。ほら、アナログってすごく丁寧に扱うでしょ、日常のバタバタからいったん離れて行うコレがたまらないんですよ。音楽を聞く前の儀式のような一連の行為が。流れてくる音のどこか甘い(耳への感触としてね)響きも含めて、くつろげます。疲れてるのかな、僕(笑)?
 で、ものすごく久しぶりにアナログの棚を漁り、次々に再生しています。マイク・オールドフィールドの珍盤「Airborn」(1980年に出た2枚組。この盤に収録されている「Tubuler Bells Pt1」ライヴバージョンは「Exposed」とはまったく別のもので、こちらのほうがいい演奏だと思う)とか、山口県のサビエル記念聖堂のオルガン演奏のLP(20年以上前に訪れた折に教会で求めたもの。もちろん焼失する前のオルガンで、ジャケットにも以前の聖堂が写っている)とか、去年買い揃えたヴァン・ダイク・パークスの連作シングルとか、CDでは持っていないものを出してきて聴いています。上に「甘い」と書きましたが、実際スピーカーの前に座ってじっくり聴いいていると、やっぱり引き込まれていくような感動があります。アナログは短時間で片面終わるので、ダラダラ流していられないという一種の緊張感もあって、上記の「儀式」もコミで集中するので、より音楽を身近に感じるのかも知れません。
 今聴いているのがスタイル・カウンシルの「My Ever Changing Moods」というLP。12インチではありません。あの「Café Bleu」のアメリカ盤。だからレーベルはレスポンドではなくゲフィンで、ジャケットも収録曲も違います。買ったのはアルバムが出た直後、記憶が確かならイギリス盤「Café Bleu」も一緒にお店に並んでいました。イギリス盤ではなくこちらを買った理由は憶えていないんですが、たぶん少し安かったからじゃないかな(笑)?
 で、僕はしばらくこちらばかり聴いていて、その後イギリスオリジナルを聴いてビックリ、「My Ever Changing Moods」の演奏が全然違う!これは本当に驚きました。今ならちゃんとわかりますが、当時(まだ学生です)は情報も経済力もなく、そんなことも知らなかったのです。で、負け惜しみではないですが、この曲に関しては絶対にアメリカ盤バージョン(12インチバージョン)の方が出来がいいと思っています。当時も今も。あの1991年の来日公演でもこのバージョンで大受けだったし。「Café Bleu」に比べて「My Ever〜」は明るくバンド志向の印象を受けるのは、やはりアメリカ受けを狙ったからでしょう。個人的にはその路線で地道にアプローチしていけば、スタカンももっとアメリカで売れたと思うんですけれど、ねえ。そこまでは割り切れなかったのかなあ、ポール?あんなに才能もキャラクターもある人がアメリカでは今イチの地位だというのは、本当にもったいないです。でもそれだからこそ、80年代の半ばという時期にこれだけ生の息吹を感じさせる「Blue Eyed Soul」が誕生しえたのかも知れません(このあとわりと時を置かずに、なんか変な方向に行っちゃったんですよねスタカン。その意味でも惜しいなあ)。
 基本的に生演奏で、ミックスもどこか「ザラッ」とした感触の音。レーベルはなんの変哲もないゲフィンのロゴですが、ターンテーブルの上で回っているこのアルバムは(今では独立して語られることもあまりないですが)僕にとっては思い出もコミコミで、アナログ再生がよく似合う愛聴盤です。