それ行け!ベイ・シティ・ローラーズ2013

 先週の土曜日(6月8日)、「それ行け!ベイ・シティ・ローラーズ2013」というイベントに参加してきました。会場は東京の某ホテル、後述の懇親会のとき、窓からは遠くフジテレビ社屋、別の窓からは東京スカイツリーも見えるといういいロケーションの会場でした。
 内容は音楽評論家の大森庸雄氏、70年代後半にアリスタレーベルを担当されていた、(当時の)東芝EMI(元)ディレクターの鈴木博一氏のトークライヴ形式。司会進行はあの山本”チャッピー”さゆりさんという、イベントならではの顔ぶれでした。ホテルのブランケットルームは大体200人くらいのファンのみなさんで満員。後述しますがもう見た目から「ち、違う!」という感じでイベント開始前から僕など気圧されてしまいました。いや、僕だって「青春に捧げるメロディー」以来のファンだし、アナログもCDも(紙ジャケだって)持っている「それなり」のファンなんですが、そんなものでは歯がたたないような感じでした。
 内容はBCRを日本に(本格的に)紹介するための裏の奔走のエピソード、来日したときの大騒ぎ、メンバーの近況などのお話し。ここでは書けない「おみやげ話」(笑)などもはさみつつ、楽しくて「濃い」ものでした。今では「そういう騒ぎがあった」と、ある意味有名なエピソードですが、実際思い出してみてもものすごい人気と騒ぎ、真面目に「ビートルズ来日」みたいな感じだったんですよ当時は。そのときのお話しを当事者のみなさんから直接伺えて、ものすごく感動的で、勉強にもなりました。
 話の継ぎ目にイベント申し込み時に参加者が綴ってきた文章を紹介するコーナーがあったのですが、時に会場爆笑、時にハンカチで目頭を押さえる場面もあり(ローラーズ全盛期に知り合い、ずっと交流のあったお友達とのお話し。ここでは詳細は伏せますが、年齢的にもリアルであると同時に、時の流れや人と人の絆を強く感じさせてくれるお話しでした)、ファンのみなさんの思いが伝わってくるようなものでした。今ではそうでもないですが、当時BCRはファンではない人たちには(アイドル人気故にか)とても低く見られていました(僕も熱心に聴いていたのは2年くらいでその後90年代になるまで離れていましたから偉そうには言えないですが)。その当時から今までちゃんと彼らを愛し、彼らの音楽を愛し続けてきた人たちの「生の声」は、音楽ファンならば共感できる「あの気持ち」を伝えてくれるものでした(ちなみに僕のメールも読まれてラッキー♪)。
 余談ですが面白かったのは単語。話題の中心が昭和50年くらいからの数年間なので、ゲストの口や上述のファン文章からも「黒電話」「フィルムコンサート」「文通」など昭和な単語がゾロゾロ(笑)。今みんなないものね(笑)。メールなどがないのでチャッピーさんや大森氏のところに連日夜中でも(情報を求めて)電話が入っていたというすごい逸話も(その話題のとき、参加者のお一人が「すみません、私かけました」と発言されていて、これまた爆笑)。
 参加者のみなさんの多くは、お手製のローラーギア(BCRのコスチューム)を着用し、イベント中曲が流れると手拍子を打ったり踊ったり。同好の人たちばかりなので迷惑にもならず、気持よく盛り上がれました。
 イベント後は立食パーティ形式の懇親会。ここではたくさんのファンのみなさんと交流ができました。男性のみなさんはやはり造詣が深い方が多かったですね。レスリー後にボーカルをとったダンカン・フォール(南アフリカ出身の音楽家。あのトレヴァー・ラビンとバンドメイトだったこともある)について、非常に詳しい情報を持っていて、日本で演奏した「現場」を実際にご覧になったという方もいらっしゃいました。本当に「濃い」。そしてみんな楽しそう。なにかを好きになって、その気持を持ち続けるのって本当に素敵だなあと思っちゃいましたよ。
 ちなみに僕はこの日、「青春の記念碑」という2枚組アルバム(アナログ)を持参していて、懇親会の席で大森氏、チャッピーさん、そして鈴木氏にサインしていただきました。サインをいただくとき鈴木氏からは「いつどのようにBCRを知りましたか」と質問され、こうこうですよと答えたところ「僕は今日ここに来るまで、当時こんなに男性に(BCRが)届いていたとは知りませんでしたよ。嬉しいなあ」と話してくれました。本当に感激したという面持ちでした。イベントのときのトークでは、業界の裏話っぽい逸話を交えながら、BCRを「売る」ために東奔西走したことを話されていた鈴木氏からそのような言葉が聞けて、感動してしまいました。ジャケットについていた帯を見て「このコピー、僕が書いたんだ!」というお話しまで聞けました。これが僕にとって最高の「おみやげ話」です。
 BCRの音楽がビートルズザ・フーと比肩しうるものか、そう問われれば「うーん」と言わざるを得ない僕ですが、それでも僕は彼らの音楽が大好きであることに変わりありません。ポップで明るく、でもちょっとウェットな部分もある、正しい「ポップソング」であると、これもまた堂々とした「Silly Love Songs」のひとつなんだと。なによりも僕にとっては「最初の出会い」ですからね。この日のイベントでは、そういう「思い」を強く感じ、感動することができました。運営進行とも熱心なファンベースで実現したというこのイベント、本当に貴重な体験でした。