秋の愛聴盤

 気がつけば10月も終わり。ハロウィーンですよ(笑)。8歳になるドレミは明日が学童保育ハロウィーン・パーティだそうで、100均で揃えたお衣装でとっても嬉しそうにしています(笑)。
 秋になると聴きたくなる音楽ってありますよね。僕はふだんあまりTPOに合わせて音楽を聴き分けたりしないんですが、それでも少しはそういう音楽があります。アート・ガーファンクルの「Scissors Cut」なんか季節の変わり目、それも春と秋にはよく聴きたくなるアルバムです。で、今日のお題は秋によく聴く個人的代表盤、エリック・カルメンの「Change Of Heart」。
 このアルバムは彼のソロ3枚目(1978年作)。大ヒット曲が収録されていた前2作に比べると地味な扱いを受けているアルバムですが、今聴いても心に響くポップスです。ずっと以前このブログでエリック・カルメンを取り上げたときにも書きましたが、この人は卓越したポップセンスを持っていながら、本人の持ち味なのかクラシック的な大甘路線に向かってしまうものが多く、そこが気になるときが多いんですが、このアルバムはとてもコンパクトにまとまっていて甘さもほどほど、苦味もほどほどという上出来なポップスに仕上がっています。
 当時大流行していたディスコ的なアレンジもありますがそこもほどほど。その「ほどほど感」が得も言われぬ親しみやすさを感じさせてくれます。演奏も見事。それに楽曲のレベルも高いんですよ。「All By Myself」や「Never Gonna Fall In Love Again」などの格調、ラズベリーズ時代の野趣とは違う「70年代後半のポップスお手本」のような楽曲群。ポップスファンならきっとわかってもらえるような魅力に溢れたアルバムです。
 どの曲も大好きですが、個人的に忘れられないのが冒頭とラストに収録された「Desperate Fools」(冒頭はストリングス、ラストがボーカル入りテイク)。切ない旋律に乗せて歌われる人生の苦味。このアルバム発表時、紛れもない大スターだったはずのエリックが、まるで隠していた心情を語るような歌声。大げさではないアレンジが感動的(ボーカルテイクでのハーモニカも泣かせます)。
 決して有名な曲ではないですが、僕にとっては名曲です。そしてこの切ない名曲は、どんな季節よりも今この季節に聴くと胸に迫ります。高校生のときからずっと傍らにあって折にふれて聴くものですが、僕にとっては秋こそぴったり気持ちが合うアルバムです。エリック・カルメンというと前作前々作が話題になることが多いですが、このアルバムも間違いなくポップスの名盤です。なにより僕には「はずせない秋の名盤」です。きっとこれからもずっと。

Eric Carmen/Boats Against The Current/Change F Heart

Eric Carmen/Boats Against The Current/Change F Heart

これ、初期3枚のアルバムが全部入りのお得盤だそうです。一番大きくレイアウトされているのが「Change Of Heart」なんで嬉しい(笑)。
 余談ながらこのアルバム、我が家にある洋楽レコードのなかで数少ない「僕が買ったものではない」1枚です(妹が買いました。当時ファンだったショーン・キャシディが歌った「Hey Deanie」のオリジナルが収録されているという理由で買ったようです)。そういえば「譲る」と言われた記憶はないんですが、もういいよね僕のものだよね。とっくにお嫁に行っちゃったし(笑)。