ありがとう、ポール。

 ポール・マッカートニーの日本公演が無事すべて終了しました。僕は東京ドーム3回に行きましたが、一言でいうと「最高!」でした。というか最高!とかすごい!とか感動した!とか、そういう叫びしか出てこない感じです。3日程とも会場の外で複数の友人に会ったんですが、みんな始まる前から興奮気味で、終演後に会った人は全員が上記のような一言モードになっちゃってました(笑)。でも本当にそうでしたよ。僕は過去の来日もすべて複数回観に行っていましたが、今回が一番感動しました。
 以下、思い出せるまま書き出しますと…。
 初日(11月18日)、3日目(同21日)は同じセットリスト、2日目(同19日)は3曲の変更あり(2日目のみ「Jet」「Things We Said Today」「I Saw Her Standing There」、他の日は「Listen To What The Man Said」「I’ve Just Seen A Face」「Get Back」)。
 日本語MC多し。カンペ見ていたけれど(笑)。
 「Back In The U.S.S.R.」の演奏中、後方のスクリーンに「FREE PUSSY RIOT」とスローガンが映しだされた。
 「Yesterday」演奏前のMC、18日は「フクシマ・アースクエイクに遭った人達に」、19日は「フクシマの人達に」。たぶん両日とも福島の人達に捧げたかったんだと思う(最終日は特にMCなし)。
 「Paperback Writer」のとき、エピフォン・カジノを弾いてくれた!「この曲をレコーディングしたときに使ったギターだよ」とのMCつき。曲が終わったあと高くかざしてくれた際、バックが観客側を向き、サンバーストのリペイントがよく見えた。
 「ウィングスのファンに」と語って始まったのは「Nineteen Hundred And Eighty-Five」!!意外過ぎる、そして素晴らしすぎるチョイス!最高にドライヴした演奏。選曲については定番曲を押さえつつ「Helter Skelter」「Hi,Hi,Hi」「All Together Now」「Lovely Rita」なども。個人的にウィングスの曲が6曲もあったのが嬉しかった。
 最終日、会場入りしたときに赤いサイリウムを渡された。アンコールの演出用にということで「Yesterday」演奏のとき、会場が赤く染まった。
 バンドがみんな元気元気。2002年の来日時は「ちょっとラフかな」と思っていたんですが、いい意味でラフさが消え、若々しく溌溂としていました。ごく自然にロックしているという感じでノリも十分。そして、そのバンドにまったく負けていない我らがサー・ポール・マッカートニー!本当にすごかった。2時間40分のコンサートを、まったく休憩休息なしで突っ走っていました。
 ここ数年出た映像ソフトなどでは、なんとなく声の衰えが気になっていたし、あの「Kisses On The Bottom」のボーカルは今でも違和感がある僕なんですが、今回のコンサートでの歌声にはそんなネガティヴなものを感じませんでした。なぜなのか?理由はわかりません。でも本当に、パフォーマンス全体の説得力、こちらに迫ってくる力がとてつもなく強い。そういうコンサートでした。これはもう、聴衆としてその場にいたからこそ得られた、本当の意味で「リアルな」体験、感動に違いありません。音楽の感動の本質が「正確さ」や「足し算の理論」では説明し得ないこと、そしてそれは確かに聴き手に伝わることを再確認しました。事前に「定番曲ばっかりじゃあなあ」なんてエントリを書いて恥ずかしい。そういう部分だって軽々と越えて、最高のコンサートでした。
 先週の東京は気候も穏やかでした。ポール帰りの夜空にはきれいな星と月が輝いていました。ポールとファンは祝福されている、本当にそう思いました。行ってよかった。最高でした。ありがとうポール。「See you next time」という言葉を信じて、僕達ファンはまた自分の「Long And Winding Road」を歩んでいきます。素晴らしい夜の思い出とともに。