高橋大輔選手、お疲れ様でした

 ソチ五輪、いろいろなことがありながら日本選手も成果を上げてきていますね。これを書いている時点で葛西選手の銀メダルが最新ニュースですが、すごいですね。まさにレジェンドです。
 そして上村愛子選手にはとにかく「素晴らしかったです、お疲れ様でした」と言いたい気持ちです。メダルには届かなかったが…と言われていますが、とんでもない、彼女こそ真のトップアスリートであり日本の誇りだと思います。
 昨日(2月15日未明)にはフィギュアスケート男子シングルのフリーがあり、ご存じのとおり素晴らしい結果でした。羽生結弦選手、金メダルおめでとうございます。五輪初出場、10代での金メダル、なによりこの種目でのアジア初の男子金メダル獲得と、とにかくすごいことだらけです。ほんの2シーズン前「SPはいいのにスタミナ不足でフリーがねえ…」と(フィギュアファンの友人と)話していたのが嘘のよう、競技後のインタビューなどの言葉なども含めて、破格の存在だと思います。町田樹選手も初めての五輪で入賞、遅れてきた伏兵は、見事に花開いたと思います。
 そして僕にとって最大のギフトは高橋大輔選手です。6位入賞という成績以上の価値ある演技を見せてもらったという気持ちです。全日本のときは見ているこちらも辛くなるような痛々しいものでした。それがソチのリンクでは、控えめですがはっきりと笑みを浮かべての演技でした。キスクラでも微笑んでいました。それがメダル争い、順位争いなんて次元を越えたような、この競技を心から愛してここまできたということを物語っているようで、もうそれだけで十分でした。
 これまたみなさんご存じのとおり高橋選手はビートルズ・メドレーで演技をしました。ビートルズファンとして嬉しいことです。しかも僕は歌詞も知っているので感動もひとしおです。「In My Life」から「The Long And Winding Road」だなんて、本当に感動的でした。
 そしてこの2曲の前に、ビートルズ以外の曲が選ばれていました。聴いたことがあるのに思い出せずしばらく悩んだんですが、思い出せました。「Friends And Lovers」。あのジョージ・マーティンのペンになる作品です。マーティン卿がジョン・レノンを偲んで作ったという曲、タイトルはもちろん「In My Life」から採ったもの。この曲を「In My Life」のイントロとして使用したところに、このメドレーの真骨頂をみます。長いキャリアのなかで怪我も挫折もあった日本選手のリーダーは、どんなときもまわりの人達、応援する人たちへの気づかいを忘れない人柄と伝えられています(このことは、僕が以前話しを聞く機会を得た、ジュニア以来の高橋選手のことをよく知る人からも直接伺ったことでもあります)。
 その彼が、友や恋人、そして故郷への思いを馳せるという曲に合わせてステップを踏んだということを、僕はずっと忘れないでしょう。メダルがどうとか、着氷がどうとか、関係ありませんというか、そんな次元の話しではありませんでした。羽生選手のような選手が出現したことも大きな事件です。それは間違いないし喝采を惜しみません。でも高橋選手のような人が出たことも、同じくらい大きな事件であり、感動だと思います。
 高橋大輔選手、入賞おめでとうございます。フリーの演技、僕は心から感動しました。演技中、そして終了後の言葉にもその笑顔にも感動しました。アスリートとして、そして日本選手のリーダーとして、ここまで本当にお疲れさまでした。日本は高橋大輔という得難い名選手を得てここまで来たと確信しています。本当にありがとうございました。

In My Life

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