誰でも気軽に聴ける日が、いつか来るのかなあ…

 数日前に1枚CDを購入しました。ロニー・レインの「How Come」というもの。ベストものです。それなりにレアトラックも入っているし、以前出ていたCDに比べても音のヌケがよくなった感じで、価格的にもお買い得感の高い買い物でした(帰宅してアマゾンで調べたらもっと安くてちょっと落胆しちゃったけれどw)。正直ロニーのCD、紙ジャケ国内盤も含めて基本的なものはすべて持っているし、ピート・タウンゼントとの「Rough Mix」だって持っています(こっちはすごいぞ、イギリス盤オリジナルアナログとか国内盤帯付きとかもあるぞw)。でも買っちゃう。何故か?
 世の中には「いつでもどこでも買えるモノ」があります。音楽で例を挙げると、ビートルズの「Rubber Soul」の2009年リマスターCDを買うためにお店を何軒も回るとかネットで検索し続けるなんてことはありません。まさに「どこででも買えちゃう」ものです。だから慌てなくてすむ。好きなときに買える。「Rubber Soul」が買えない状況というのはあまり考えられないです。
それに対して「めったに買えないモノ」というものもあります。たまたま見かけた時に入手しないと、二度と巡り合えないモノ。逃したら(もしかして)一生後悔しそうな、そんなモノ。
 僕にとってロニー・レインの音源は、言ってみればそういうものなのです。これは音楽に内在する理由ではないですね。音楽だけなら文句なし「永遠の存在」です。商業音楽ゆえしょうがないですが、なかなかメジャーで定着しないなあ、ロニーとかスモール・フェイセズとか。でもって廃盤アナログとかはトンでもない価格なんですよね(ターゲットがマニアだから)。で、結局ロニーのものは「見つけたら即買い」に。これはファンとしてはちょっと切ないですね。ブリティッシュ・ロックが好きな人が聴けば、その価値も美しさも絶対わかってくれると思うんですが、難しいのかなあ?
 かつてザ・フーがそういう地位にいました。彼らはいつの間にか「知名度のみメジャーで実際はマニア向け」アーチストから抜け出し、今や普通のショップに普通に売られるアーチストになりました。これは日本のロックファンの成熟を証明していることだとファン歴35年の僕は嬉しく思っていますが、ロニーも(スモール・フェイセズ人脈のアーチストも)そういう地位に上ってほしいなあ。
 だって音楽は本当に素晴らしいんですよ。楽しくて明るくて敷居は低い、でもどこかに哀しみが、奥行きが感じられるあの音楽。実はこの文章を書く参考にちょこっとアマゾンを検索したら、僕が持っているロニー関連のCD(国内盤)の大半が廃盤になっていて、マーケットプレイスでもけっこうな価格になっていました。以前ロジャー・ダルトリーを検索したときにも同じように感じたんですが、ロニーの音楽は決してそんな「バカ高い金額で取り引きされて愛玩される」ものではありません。みんなが気軽に楽しめる、そういう音楽です。iTunes Storeにもほとんどないし、本当に残念です。
 「How Come」は現在気軽に買える(在庫という意味でも価格という意味でも)ものですが、これを聴いてファンになった人にその先をお薦めできないのが残念です。若い音楽ファンがふと手にとれて愛することができる…そんな環境こそが、音楽ファンの裾野を広げ、ゆくゆくは音楽市場を大きくしていくと、そんな気がするんですが…。

How Come

How Come