小ネタ モノアナログは後期に限る(?)

 曇り空のために月食が全然見えなくて凹み気味のshiropですこんばんは(笑)。宿題が「月食を見る」だったので楽しみにしていた娘もガッカリ、親子でテンションだだ下がりです、ふう。
 ところで、すっかり旧聞に属しますが、出ましたね、ビートルズのモノLP。僕はボックスの価格を知った瞬間に購入を諦めましたが、なかなか評判はいいようです。ネットでの声、そして交流のあるマニア諸兄のお話しなどを総合しての感触ですが、決して手放しの絶賛ではないながら、概ねいい評価。数年前のステレオLPがとても低い評価だったことを思うと、かなりの好評といっていいのかも知れません。どう考えてもマニア向け商品なんですが売れているようです。マニアといったらヘタするとビートルズのアナログなんてとんでもない枚数持っているでしょうに、それでも売れる。いろいろすごいことです。
 ところでボックスの購入はすっぱり諦めた僕ですが、先日立ち寄ったショップでバラ売りがあるのを発見し、ついふらふらと…(笑)。1枚ずつなら経済的にも痛くない、一番欲しいものから順にお小遣いの範囲内で買える、売り切れたらそこで「試合終了」でも惜しくない(なにしろ、もうたくさん持っているしCDのモノボックスも持っているから)。そう思って実際に週1枚程度のペースでチョコチョコ買い進めています。現在数枚。ありがたいことに、各ショップの在庫状況を見ても、これから数週間で完全入手不可になる様子もないので、安心していられます。
 今まで入手したもので特に気に入ったのは実は「Mono Masters」。いきなり編集盤ですが(笑)、これは良かったです。厳密に書きますと、「Paperback Writer」以後の曲についてはどれも聴いていて気持ちいいです。特にいいと思ったのは「Rain」「Only A Northern Song」「Hey Bulldog」「It’s All Too Much」の4曲。今回アルバムとしてはモノ化から外された「Yellow Submarine」収録曲はどれも素晴らしかったです。全体的には初期の曲には上記数曲ほど感激せず、相対的に後半(後期)に進むほど感激の度合いが高くなっていきます。
 そして、もうひとつ良かったアルバムがホワイト・アルバム。これはミックス違いが多く、そういう意味でも楽しかったですが、それはもうCDで体験済み、じゃあなにがよかったかというと、僕らしくもないですが、音の感触が、です。特にC面(アナログだからこの表現堂々と使えるね!)「Yer Blues」「Helter Skelter」などヘヴィな曲が続きますが、そういう曲でのリズムセクション、「Mother Nature’s Son」での歌声とアコギの響き。どこがどうステレオ版、CD版と違うということより、聴いていて気持ちに入ってくる感じ。聴きながら「ああ、なんでマニアのみなさんがアナログ!モノ!オリジナル!って主張されるのかちょっとわかったよ」という気分になってしまいました。
 僕は、今までさんざん書いてきたように、アナログだからいい、オリジナルだからいいというふうには考えておりません。音質論議はどこまでいっても「主観の領域」を出ませんし、どんなフォーマットで聴くかは、僕としては「二次的」な話題だと思っています(なにを聴くか、が問題ではなく、いかに聴くかという部分にこそ音楽芸術鑑賞の本質があるという意味)。
 ではあるんですが、今回のホワイト・アルバムを聴いていると、リマスターCD(モノでもステレオでも)やUSBのハイレゾとは違う、なんとも言えない気持ちよさ、心地よさ、そういうものを感じることも、また事実です。ホワイト・アルバムも「Mono Masters」の数曲もいわゆる「後期」の作品で、今回のもの再発は後期のもののほうがいい出来なのかも知れません(つい最近お会いした、さる大変なマニアの方もそういうお話しをされていました)。
 僕は今回の再発、正直にいうと「1枚あたりの価格が高い」「限定生産で常時入手可能というものではない」という部分に引っかかってしまい、いくぶん批判的です(若年のファン、初心者のファンには敷居が高く、入手のチャンスが限られてしまう)。そういう意味ではちょっと首をかしげてしまうんですが、逆に中級以上のファンの方には、機会があればぜひ聴いてみてほしい、そういう気持ちになれるものでした。少なくとも僕は楽しめました。なんだかんだ言って、僕も「それなり」のファンではありますし(笑)。

The Beatles [12 inch Analog]

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