畠山美由紀さんのイベントに行って参りました。

 11月21日の夜、畠山美由紀さんのイベントに行って参りました。これは先日出た新譜「歌で逢いましょう」発売記念として、ディスクユニオンが開催したもの、会場は新宿。
 内容はまずアルバム制作に関するフリートークがあり、その後ミニライヴが行われるというもの。満員でしたがそんなに広くない会場だったので、間近でお話しも演奏も聞くことが出来ました。
 フリートークはプロデューサーでありベース奏者でもある沢田穣治氏とランブリング・レコーズで畠山さんのA&Rを担当されている男性(ごめんなさいお名前忘れてしまいました!)と畠山さんとの鼎談形式。アルバム録音時のエピソードやスタッフとのやりとり、そして楽曲のことなどを、寛いだムードで語ってくれました。
 興味深かったのは歌詞についての言及があったこと。アルバムには演歌も収録されているんですが、不幸な状況を歌ったものが多いという話からA&Rマン氏が「(畠山さんが)悲しい時や辛い時、『がんばろう』と歌うだけでは気持ちは伝わらない、「悲しい」とちゃんと歌った歌がそういう気持ちを克服するために必要なのでは(と話していた)」と語ったとき、畠山さんが「古い美術品を修復するとき、力任せに汚れを取ろうとしても作品を壊してしまう。本当に少しずつ、薄い皮を1枚ずつそっと剥がすように接していく必要がある。心もそういうものではないか」と応えていたこと。僕は普段歌謡曲や演歌を聴かないので、「歌で逢いましょう」には感動しつつも、そこまで踏み込んだ解釈や理解をしていませんでしたので、この言葉は響きました。
 続くミニライヴは新譜からの数曲、そして僕の大好きな「わが美しき故郷よ」、ラストにガラリとムードが変わって明るい急速調ボサノヴァ風「虹の彼方に」。バックは沢田氏のベース、笹子重治氏のガット・ギターだけで、シンプルであることが最高の喜びと言えるような内容。マイクを通しての歌声ももちろん素敵でしたが、間奏のとき、マイクを胸の位置に下ろし、目を瞑ってハミングしている声がかすかに聞こえてくるのもよかったです。
 イベント終了後はサイン会。僕は会場で求めたアナログ盤にしていただきました。畠山さんからサインをいただくのは昨年の草月ホールに続いて2回め。そのときはCDにしていただいたんですが、やっぱりアナログは大きくていいですね(笑)。このジャケットも美しいポートレイトですが、実際に間近に見るご本人はこの数倍美しく、お話しぶりや声も含めてとてもチャーミングでした。
 サインをいただいているときにFMヨコハマの「Travelin’ Light」聴いています、「アナログ特集」(その番組で不定期にやる特集。かける音楽すべてアナログ盤というもの)好きなんですと話しかけたところにこやかに「あれはCM前のジングルも含めて全部アナログなんですよ」と答えてくださいました。
 上に書いたように、僕は歌謡曲や演歌をあまり聴いてこなかったので、そっち方面は本当にセンスがないんですが、このイベントでお話しを聞きながら、歌詞を頼りに聴くという近づき方があることに(今更ながら)気づきました。今はまだ「歌で逢いましょう」限定ですが、ちょっとずつ新しいものを開拓していこうかな、そんなふうに思っています。

歌で逢いましょう

歌で逢いましょう

 追記:文章中に出てきた鼎談での発言は、僕が今記憶しているものです。当然要約していますし逐語の採録ではないので、もしかしたら解釈違いなどがあるかも知れません。そのへん斟酌していたければと思います。もちろん文責はshiropにあります。
 もうひとつ追記、「歌で逢いましょう」アナログはしっかりした作り、音も上々ですばらしいものでした。やっぱりいいですね。この流れで次はぜひ傑作「わが美しき故郷よ」をアナログ化してほしいです。あの美しい朗読バージョンのカードをアナログサイズで手に取ってみたいです。関係者のみなさま、もしこの文章を読んでらっしゃったら、ぜひご検討ください。もし出たら僕2枚買います!