アート・ガーファンクル 渋谷12月10日

 歌手の歌を、単にピッチがとれている、高い声が出る、ロングトーンが見事という観点からしか評価できない人が聴いたら、いい評価は出ないでしょう、12月10日、渋谷公会堂アート・ガーファンクル。全盛期から比べれば、衰えはありました。
 でも僕は心から感動しました。好きな歌手だからという理由ではありません。
 ステージの上には、人生すべてで表現するとしか言えないような、それでいて押しまくる力技ではない、本当の「歌手」がいました。
 少し前に「文章を書くことは0を1にするのではなく、100を1にすることだ」という文を(ネットで)読みました。あるアーチストを愛し、何十年も聴き続けることは、若い時には「1」だけを愛し評価していたところから成長し、その後ろにある「99」に気づき、その豊かさを愛せるようになることなのかも知れません。
 この日のアートの歌声は、まさに「背後の99」あっての「1」でした。そして、それは確実に僕達に伝わってきました。

写真は会場で販売されていた「サイン入りパンフレット」。
それなりのお値段でしたが、アートのサインだもの、僕には高くなかったです(笑)。