本当にポール・マッカートニーは天才で大スターだった

 ただいま2015年4月24日金曜日、午後9時。
 ポール・マッカートニーの東京公演初日を観たのは昨日のことです。
 なんだかもう、すごかったです。
 始まる前はですね、昨年の病気キャンセルのモヤモヤもあったし、同じツアーだから内容もあまり変わらなくて新鮮味がないのではとも思っていたし、相変わらず「謎の高値」のチケット代とかいろいろ複雑だったんですが…。いざ始まってみたら、全部吹っ飛んでしまいました。
 一昨年は演奏しなかった曲はもちろんありました。でも大部分は同じ。演出も含めて基本的には「アウト・ゼアー」ツアーでした。その意味では「前回と同じ」といえます。
 でも!実際に始まったら、そういう思いや心配はどこかに吹っ飛んでしまって、気づけばただただポールとその音楽に酔いしれていました。これは本当に驚き、そして感動でした。会場にいた友人知人たちも概ね同じような感じでしたので、僕だけの主観ではないはずです。これはすごいことです。
 奇しくも日本のファンにとっては初めての「時を置いて同じツアーを体験する」状況だったんですが、それが却って今まで知ることがなかったある事柄を知ることになりました。前回からどれだけ時間が経ったのかとか内容が変わったのかということではなく、「ポールが全力で演奏したら、いつだって観客は魅了される」ということ。昨年のこともあって直前までなんとなくドライな気分だった僕でさえ、です。一昨年僕はSNSで「僕たちはポールを見くびっていた」と書いたことがありましたが、まさにそういう気持ちです。まさに天才の底力。凡人の想像や憶測など届かない高い遠いところにいる、そういうことなのでしょう。本当に文句なし。最高です。
 武道館には行かれませんが、あと2回、僕は東京ドームに行く予定です。こんな幸せはありません。

レスリー・マッコーエンライヴ 渋谷 4月2日

 4月2日、レスリー・マッコーエン(ベイ・シティ・ローラーズ)のライヴ、行って参りました。会場はDUO MUSIC EXCHANGE。一昨年にも来日していたし、今回はチケットの販売が少し特殊だったので動員がどうなるかと思っていたんですが、会場に着いたらフルハウスでした(嬉)。
 バンドは前回と同じメンバー。レスリーも前回同様調子が良さそう。そしてライヴも前回と同じく盛り上がりました。「前回と同じ」を強調すると、なんだか「定番曲で長年のファンが(お約束的に)盛り上がる」という光景をご想像されると思います。そういう部分ももちろんありました(ベテランのアーチストのコンサートにはつきものですね)。でも僕がこの日のことで特筆したいのは、一昨年との違い(?)、ちょっと変な表現ですが「現役感」が増していたということです。
 実際のレパートリーは一昨年とさほど違うものではなかったんですが、演奏の張りや曲順、MCなどが「感動的な再会の一夜」というものではなく、「素晴らしいライヴ・エンターテイメント」という趣だったのです。僕はそういうことは期待していなかったので、意外な驚き&喜びでした。音量も全体的に大きく、前回のパワーポップ的テイストから一歩進んで「ポップなロック」というものになっていました。BCRの(特に初期の)レパートリーはギターブギー色の強いものが多いですが、ラウドに演奏されるそれらの曲は、ノリノリであると同時にゴリッとした感触が心地よく、音楽性は違いますがどこかTレックスを連想させるような感じでした。
 そしてもちろんレスリーの歌声。変わらないなあ。気持よく聴ける、あの歌声。今回はバラード的楽曲控えめ、突っ走るような感覚でシビレさせてくれました(「Don’t Let The Music Die」を聴けなかったのはちょっとさびしかったですが、それは些細なこと)。
 こういう「違い」を目の当たりにするのは、ファンとしてはとても嬉しいものでした。いつ観ても定番曲を順序よく演奏するのではなく、(MCも含めて)毎回少しずつテイストやスタイルを変える「懐の深さ」。これこそプロですね。こうだからこそ、「次も観たい」と思えるようなものでした。本当に楽しかった。また来てくださいね、レスリー。次もきっと観に行きます!

Heart Control

Heart Control

 追記:客席を埋めた「お姉様」たち、今回もすごかったです。お手製(?)のタータンギアに身を包み、これまたお手製(?)のウチワやプラカードを振っての大声援。ファンイベントのときにも驚いた情熱、これもまた「前回と同様」でした。

4年目の3.11に

 東日本大震災から4年。いろいろな思いを抱きつつ、今日も黙祷させていただきました。
 あの日、どこにいてなにをしていましたか?我が家は今も折にふれてそのことを話します。当時5歳だった娘もよく憶えていているそうです。
 娘が通う学童保育の指導員さんが話してくれました。「震災後、防災訓練・避難訓練での子どもたちの態度が変わりました。それまではふざけたり笑っていた子どもたちが、今は全員真剣。何も指示していなくても、自発的に上級生が下級生の手を取り、点呼し合って避難するようになりました。」娘に訊いても、同じような答え。
 それでも時間は流れていきます。
 今年度の新入生あたりから、震災の記憶が不鮮明になっていて、「知らない・憶えていない」という子も多くなっているそうです。
泣きながら保育園を出て避難所である小学校体育館に向かい、夕方お祖母ちゃんに迎えられて帰宅した後は長時間停電に遭い、パパは夜遅くの帰宅でママは帰宅しなかった娘にとって、震災は今も記憶に鮮明です。でも遠からず、震災のことを「知らない」子どもが在校生の大半を占める日が来るのでしょう。
 忘れない。
 上記「程度」の被災しかしなかった、東北から遠くに住む僕達にとって、あの日のことは、時として「忘れられがち」です。僕は「忘れていないほう」だと自負していますが、それでもきっと、自分でも気づかないうちに「風化」しているに違いありません。
でも今はまだ鮮明に思い出せる。職場が大きく揺れたこと。隣接する大きなショッピングビルの電気が消えたこと。職場のボロテレビが伝える被害状況・交通情報をワープロ打ちして、近隣のテナントさんに配ったこと(テレビがあるのがうちの職場だけだったのよ)、「明日(3月12日)もオープンしますが、交通事情により遅れるかも知れません」という貼り紙をしたこと(無事に定時オープンできました)。スーツに革靴、厚手のコートで2時間近く徒歩帰宅したこと。家に着いたらドレミとコピに抱きつかれてしばらく身動きが取れなかったこと。翌日は朝5時に起床し、9時の職場オープンのために6時に家を出たこと(予想どおり交通はメチャクチャで、2時間以上かかりました)。妻は災害動員のため土曜日の帰宅も昼すぎだったこと。そしてそれからの数日、数週間、数ヶ月…。
 いろいろなことが未解決です。でも今ここでそれを言葉にするのは止めましょう。僕程度の市井の人間だってなにかの一翼を担っているはずです。だからそれに全力で取り組むことで「未解決」を(本当に少しでも)減らしていく、そう心に誓います。
 今日は畠山美由紀の「わが美しい故郷よ」を聴きました。気仙沼出身である彼女が、震災と故郷に思いを馳せて作った名作。2012年以来恒例になった音楽鑑賞です。CDでもハイレゾでも持っているものですが、これ、アナログが出ないかなあっていつも思っています。以前も書きましたが、あのジャケットを、「わが美しき故郷よ」の朗読バージョン(の詩)が印刷された美しいブックレットを、アナログサイズで持っていたいなあと思っています。気仙沼だけでなく、あの日さまざまな被害を被ったみんながまた心からの笑顔を取り戻したとき、そのアナログを抱きしめたいと願っています。そしてその日がもうすぐそこに来ていることを、心から願っています。

わが美しき故郷よ

わが美しき故郷よ

It was 25years ago today

 1990年の3月5日。
 僕は東京ドームでポール・マッカートニーのコンサートを観ました。その後来日のたびに複数回行くことになるポールのコンサート体験の最初の一夜。
 この日のことは今も鮮明に憶えています。電車が会場最寄り駅に着くときの「杉は水道橋」というアナウンスを聞いて、身体が震えだしたことも憶えています。客電が消えた瞬間ドームに鳴り響いた「A Hard Day’s Night」のイントロ。そしてそこから「The End」までの至福の時間。僕は5日のほか、9、11、13日の合計4回行きましたが、本当に至福の一週間でした。このときは「ポールを観られるのもきっと最後だ(だって、ポールももうすぐ50歳だもの)」と思っていました。プログラムもその当時までのポール「オール・ザ・ベスト」的なものでしたし。それなりの感慨を持ってステージを観ていました。この年の秋に発売されたライヴ盤「Tripping The Live Fantastic」や関連シングルはその後数ヶ月聴き続けました。ドーム収録の曲では「この大歓声のなかに自分の声も混じっている!」と、ヘンテコな感激までしていました。本当に「これが最後」と思っていたんです。
 それから25年。70歳を超えたポールが、また来てくれます。昨年のことがあるのでいろいろ思うところはあります。それでも嬉しい気持ちに変わりはありません。僕は東京公演の2回分チケットを取れました(4月25日は残念ながら未入手)。前回からのインターバルが短いのでレパートリーに大きな変更はなさそうですが、ポールですからきっとなにか嬉しい選曲を用意してくれているに違いありません、というか、そう願っていますよ(笑)。
 よく考えたら、僕ももう、初来日してくれたときのポールの年齢を越えてしまっていました。ビートルズを聴き始めてからもすでに40年近くになっています。すごいなあ。ローティーンで知ったものを愛して、そのまま人生を歩むことができなのは幸運なことだと思っています。ずっとポールを好きでいてよかった。4月が楽しみです。

Tripping the Live Fantastic

Tripping the Live Fantastic

東京ドーム キッスとももクロを観てきました。

 3月3日、東京ドームにキッスのコンサートに行って参りました。キッスを観るのは2回目、最初は17年前の、オリジナルメンバー、メイクアップ復活の東京ドームでした。ずいぶん久しぶりです。メンバーは変わりましたがジーンとポールは健在、メイクも健在、しかも今回はあのももいろクローバーZとの共演までと盛りだくさん、期待しつつ(仕事が押したので全力疾走で)会場へ。
 結果を書きますと、やっぱりキッスはキッスで、つまり大満足できた、ということです。全体的に「年齢を重ねたなあ」と思うような「巨匠様式」の演奏でしたし(でもこれは一昨年のストーンズにも通じる、ということ)、昨日は特にポールの調子が今イチっぽく(MCは元気なのに歌になるとちょっと不安定でした、後半調子を上げてきましたが)その点がちょっと残念だったんですが、コンサートそのものは演出も含めて楽しいものでした。
 僕はキッスのアルバムは全部持ってはいないんですが、それでも知っている曲ばかり。演出も空飛んだりギターで射撃したり火を吹いたり血を吐いたり「お馴染みの」といえばそうなんですが、でもやっぱり盛り上がってしまいます。なにしろ演出に手抜きがない。来日公演ではステージセットを省略するようなバンドもいるなか、ちゃんと完全なパッケージを持ってきてくれるキッスはさすがです。
 そして、コンサート最終盤で登場したももクロ。先日リリースされたコラボシングル収録2曲での共演。これは予想以上に「華のある」ものでした。「夢の浮世に咲いてみな」では和太鼓も登場していました。「Rock And Roll All Nite」はシングル収録の「ももクロアレンジ」ではなく、キッスの演奏に客演するという感じでメインボーカルもジーンのまま。「夢の浮世に〜」ではももクロのもつ、あの正体不明の「真剣さ」がロックらしい心地よさに繋がり、「Rock And Roll All Nite」は逆にキッスとももクロの本質的なポップさ(大衆性)がいい意味で混ざり合った感じでした。
 ケレンそのものといっていいキャラクターと、尋常ではない力のこもったパフォーマンス、そしてそれを支える強烈なプロ意識と「建前論的な批判を吹き飛ばす」意志の強さ。キッスとももクロは、「鬼っ子的な立ち位置のまま、ファンに支えられてビッグになっていた」というところも含めて多くの共通点を持っています。この共演は僕には「よくぞ発想してくれた」と思えるような「合った」ものでした。会場にいたたくさんのモノノフ(服装とサイリウムですぐそれとわかる)のみなさんとキッスアーミーのみなさんが同じステージに向かって歓声を上げる様は、僕には感動的でした。楽しい夜でした。キッスにもももクロにも感謝したいです。

 追記:開演前のBGMでザ・フーの「Won’t Get Fooled Again」が流れだしたら会場が大歓声でした。この曲が開演の合図的なものだったんですね(17年前にも聴いたはずですが記憶がない)。コンサートの途中でもこの曲のクライマックス部分が再現されていました(「The Kids Are All Right」でのレーザー光線まで再現されて)。フーのファンとして、嬉しかったです。

短文ですがライヴ評・ベル・アンド・セバスチャン

 もう一週間前ですが「Hostess Club Weekend」を観に行ってまいりました。会場は新木場West Coast。僕は用事があったので観られたのはカリブーと大トリのベル・アンド・セバスチャンだけでしたが、どちらもとてもよかったです。カリブーはものすごいシンセ重低音にさらされ、身体の内側から揺さぶられるような音量でした(PAの真ん前にいたからかもw)。CDでは実験的でデジタルな感じでしたが、実際の演奏はバリバリ肉体的。ドラムがステージど真ん中にあって迫力満点でした。素直に「気持ちよかった」と思えるものでしたね。
 そして大トリのベルセバ。このバンドを観たくてチケット取ったくらいですから期待も大。新作「Girls In Peacetime Want To Dance」は音作りで冒険したものでしたのでどうなるかなと思っていたんですが、いきなりオープニングが新作の1曲目。でも驚いたことに全然違和感なし。あのイントロが流れだすんですが、ちゃんと「ベルセバ」なんですよ。この日の演奏曲目は新作からもそれなりに選ばれていて、その意味では変動があったといえるものでしたが、全体の印象は今までの彼らのイメージや音楽性を大きく裏切るものではありませんでした。音量もほどほどだったし(笑)。
 新機軸の「Perfect Couples」は演奏も歌も今までにない感じで、バックに流れる映像も非常に技巧的でしたが、それさえちゃんとベルセバでした。すでに活動開始から20年、バンドの「太い幹」を実感できた瞬間でした。バンド特有の「毒」や「叙情」はしっかり感じられましたが、それ以上に彼ららしい楽しさに満ちたライヴで、その意味でもバンドの「大きさ」を感じさせてくれるものでした(みんなで踊ろうタイムもしっかりあったし)。
 素晴らしい新作直後という絶好のタイミングで観られたライヴでしたが、期待以上の素晴らしさでした。

Girls In Peacetime Want To Dance

Girls In Peacetime Want To Dance

ポールも、レスリーも来てくれる4月!

 決まりましたね、ポール・マッカートニー再来日公演。噂は少し前に聞いていましたが、ついに正式発表という感じです。昨年のこともあるし、ファンの間にも少し温度差があるような感じですが(僕のまわりだけの印象ですが)、それにしたって嬉しいニュースには違いありません。早速先行に申し込みました。今のところ申し込めたのは1公演だけですが、どうせそのうち全公演申し込めるようになるよね(笑)。正直今回は(東京)全公演行くかどうか迷っているんですが、まあその可能性はある、と(笑)。レパートリーは変わるのかな、武道館(追加)公演は実現するのかな、なんだかんだいって興味は尽きません。
 そして、もうひとつ、4月にはベイ・シティ・ローラーズがやって来ます。そう、一昨年来てくれたレスリーが、です(名義はベイ・シティ・ローラーズ)。一昨年のライヴは僕も観に行き、その素晴らしい内容に感動しましたが(このブログでも感想を書きました。こちらです)、あのライヴをまた体験できる。こちらも嬉しい報せです。今回は招聘元が前回と変わっていて、ちょっと特殊なチケット販売だったそうですが、現在はチケットぴあで普通に買えます(僕はそちらで買いました)。実は今年も昨年同様ライヴづいていて、1月はダイアナ・ロスのほかThe1975、こだま和文還暦コンサートに行き、2月はベルセバ聴きたさに新木場のフェス、3月はキッス(ももクロとの共演コンサート)を観に行く予定なんですが、4月も楽しい月になりそう。中旬は仕事で忙しいところ、うまく回避できていてそっちも嬉しいです。
 ところでちょっと余談。チケットぴあでBay City Rollersを検索すると今回のレスリーのチケット販売ページに飛びますが、そこの表記がちょっとおもしろい。「ベイ・シティ・ローラーズStarringレス・マッケオン」となっています。レス・マッケオンて誰?Leslie McKeownをそのまま読んだか?いや、本当はどう発音するのか(僕は)わからないから、「マッケオン」が正しい発音に近いのかしら?でもやっぱりファンにとってはレスリーは「マッコーエン」だよね。表記はともかく、ポールといいレスリーといい、待ち遠しい4月です。まだまだ寒い毎日ですが、春はもうすぐです。
 あ、レスリー・マッケオン氏、もしかして別人だったりして(笑)。