超小ネタ これが手元にある(笑)!

 こんばんは。前回のエントリからあっという間に1ヶ月過ぎてしまいました。もうすっかり秋ですね。
 今日はちょこっと東京方面に用事。一つはなんだか今人がいっぱいいて騒然としているところをウロウロ。
 もうひとつは、渋谷の某お店(笑)。そこで写真のブツを入手しました。原田知世さんのアナログ盤。とても綺麗ですね。
 で、写真では見にくいですが、もう1枚購入してきました。
 さあ、なーんだ(笑)?

間抜けな小ネタ「指環計画」敢行中(笑)

 おはようございます。終戦記念日を含んだ週末、いかがお過ごしですか。今日は16日日曜日。昨日は、日本武道館での天皇陛下のお言葉を深く心に刻みつつ、戦後70年に思いを馳せました。
 …で、話しはガラリと変わってしまいますが、昨日の夜から、僕はある計画を実行しています。名づけて「指環計画」(笑)。
 なんのことかわからないですよね。実はつい先日、1枚のブルーレイオーディオを入手したのです。「ニーベルングの指環」。あの有名な「ショルティの指環」をハイレゾ化して1枚のディスクに収めたというもの。ものすごいボリュームの限定版はしっかり入手しそこなっていた僕ですが、こっちはやっと手に入れられまして、もう嬉しくて嬉しくて。でもご存知のとおり「指環」は長大も長大、さらっと聴けるものではありません。妻子もいるし、徹夜で聴くにも仕事だってあるし…。
 それがですね、この週末、妻子が妻実家に帰省したのです。いつもなら僕も一緒なんですがちょこっと用事があったので、それならたまには2人で行っておいでよということでこういうことになりました。
 土曜日午後から日曜日にかけて僕1人。邪魔者(?)はいない。ならば…。
 というわけで、「指環計画」発動!これはつまり「『指環』を聴く」というだけのもの。なんですが、いつものような断片的鑑賞ではなく「ラインの黄金」から「神々の黄昏」までを、スキップせず通しで聴くというやりかたで。もちろん日常生活はあれこれありますのでスピーカの前にずっと座っているわけにはいきませんが、とにかく「流し続ける」という方法で鑑賞するのです。
 で、スタートした「計画」、昨晩のうちに「ラインの黄金」と「ワルキューレ」冒頭部分は聴き終わり、今朝は「ワルキューレ」の途中からです。今は第二幕の後半で、ジークリンデとジークムントが(俗に言ってしまえば)ヤバめの愛を語っているところ。正直この楽劇については、シナリオを読むと(随分昔にとりあえず読んだことがあります)登場人物の誰にも感情移入できなくて、「そんなにいいお話かしら」と思ってしまうんですが(北欧神話がベースだから神様が俗っぽいのはわかりますが)、音楽は文句なしに高揚します(ワーグナーの政治的位置づけはちょっとさておいて)。
 そしてこのブルーレイオーディオ、ものすごく音がいいです。50年以上前の録音とは思えない。もともとがコンサート形式の録音なのでライヴ的な「広さ」や生々しさは希薄ですが、それが幸い(?)して、会場ノイズ、お芝居ノイズが入らないので、特に今回のような「耳のみ鑑賞」にはもってこいです。最大の特徴である「『指環』が1枚のディスクに収められている」ということも侮れません。今回僕は「通し」で聴いていますが、このディスク1枚があれば、ディスク交換なしで「指環」の好きなところをつまみ食い的に聴くことも可能です。
 そしてこのディスクは、各楽劇がリモコンの四色ボタンに対応しているので、例えば「ワルキューレ」聴いている途中でもボタンひとつで「ジークフリート」など他の楽劇に飛んでいけます(ちなみに四色ボタンの左「赤」から順に「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」といきます)。もちろん戻るのもボタン一発。こりゃ便利。ただし「うーん」というインターフェイスの癖もあります。各楽劇は画面に一覧が出て、それを選べば個々の曲に行くのは簡単なんですが、それが幕ごとではなく単純な番号なので、「第◯幕の第◯曲を聴きたい」という場合、頭のなかで「最初から通しだと何曲目だったっけ」と計算しなくてはなりません。これ、けっこう面倒くさいです。そこでイラつく方もいるかも知れません。ただ、ディスクを物理的に交換しなくてもいいという特性もありますから、トータルでは便利だと思えるかもしれません。慣れですかね?僕はまあまあ我慢できる範囲ですが…。
 もうすぐ「ワルキューレ」第二幕も終わります。あの有名な前奏曲が始まるのもまもなくです。妻子は夕方か夜には帰宅しますが、それまでに聴き終われるか?夏の貴重な1日を浪費する試み、でもこの先の人生で「指環」を通しで聴く機会なんてそうないでしょうから、これも貴重な体験顔しれません。というわけで、外は眩しい真夏の休日ですが、僕は引きこもって暗い運命の物語を愛でていきます。良い子は真似しないでね(笑)。

 追記:やりました!8月16日午後7時過ぎ、無事にミッション・コンプリートいたしました!途中買い物など日常生活で中断はありましたが、ほぼ12時間かけっぱなしでやり遂げましたよ!夏の休日の過ごしかたとしては「どうだろう?」というようなものですが、主観的な「達成感」はハンパないです(笑)。いやあ、がんばったなあ、リビングに座っていただけだけれど(笑)。さすがに今夜はもうクラシックはお腹いっぱい、いや、もう音そのものにお腹いっぱいで、今はテレビも消しています(笑)。

DVDレビュー ザ・フー「Live At Shea Stadium」

 ザ・フーの新しい映像コンテンツ「Live At Shea Studium1982」入手しました。
※今はこれ「シェイ・スタジアム」っていうんですよね。でもたぶん僕はオヤジ手クセで「シェア・スタジアム」って書いちゃうと思います。予めお詫びしておきます。
 例のサヨナラツアーのもので、このツアーはトロントでのコンサートが商品化されていましたし「Who’s Last」もありましたので「すごく新鮮」というものではありませんが、ツアーのハイライトだったものですので当然ファンとしては嬉しいリリースです。内容はどうなっているでしょう?
 以前出ていたこのツアーのコンテンツ(上記の映像作品とライヴ・アルバム)に比べて演奏のミックスは低音を効かせるようになっていて、ずいぶん聴き応えが変わりました。特に以前のものではポコポコととても軽い音で収録されていたケニー・ジョーンズのドラムが大きく改善されていて、彼の演奏の本来の魅力がわかるようになっています。キース・ムーンと比較されてアレコレ言われる一方ばかりで可愛そうだったケニーですが、このコンテンツでの彼がバンドのボトムをしっかり支える才能豊かなドラマーであることがよくわかります。それだけでも僕には「買った甲斐があった」変更でした。
 険悪だったというピートとケニーですが、このコンテンツではアイコンタクトを取りつつ演奏を繰り広げています。ただ、全体的にピートは表情の振幅が激しく、非常に醒めた顔つきをしている瞬間もありました。そのへんを切り取って作品論を組み立てることも可能かしら?僕は全体の「熱さ」を採りますが。
 「Who’s Last」ではどういうわけかケニー時代の曲が収録されていませんでした。で、トロントものの映像でもそうでしたが、今回のものでも、そのケニー時代(「Face Dances」「It’s Hard」)からの曲の出来がとてもよかったです。特にジョンの作品「Quiet One」「Dangerous」は素晴らしい!「Cry If You Want」「Eminence Front」などはちょっと信じられないような切れ味で、どうしてこれが未収録だったのか、これが収録されていたら80年代のザ・フーの評価は変わっていたのではないかと思えるほどです。このコンテンツがきっかけで、そういう再評価がされるといいな。
 ロジャーも素晴らしい。トロントでは若干疲れているのかボーカルが時々弱くなってしまっていましたが、ここでは素晴らしいボーカリストぶりです(一体誰が彼を低く評価していたんでしょうかね)。
 ただしこのコンテンツにも弱点というか「?」という部分があります。もうアマゾンのレビューなどで複数の方が指摘されていることですが、会場の歓声がほとんど収録されていないこと。そしてもうひとつ、カメラワークがステージ中心なので観客席、巨大なステージ全景がほとんど映らないこと。このために臨場感が大きく損なわれてしまいました。これは残念。演奏のレベルも選曲も、記録という意味でもトロントを大きく超えるものだけに幾重にも口惜しいですね。「Baba O’riley」の大合唱も低いんですからこれは文句言ってもバチ当たらないと思います。
 それでもこの映像作品は観る価値大いにありです。キースの偉大さ故か不当に低く(あるいはいいかげんに)評価されていたこの時代の演奏が、ちゃんと見事なものだったことが、以前のコンテンツよりももっとはっきりとわかるようになっているからです。ここにもザ・フーの本質はある。これを観てピンとこないようなら、その人はそもそもザ・フーとご縁がなかったのでは?そう思えるような作品です。僕は従来この時期の彼らが好きなために若干贔屓目かも知れませんが、心からファンの方にはお薦めできるものです。

ザ・フー / ライヴ・アット・シェイ・スタジアム 1982【日本語字幕付: DVD】

ザ・フー / ライヴ・アット・シェイ・スタジアム 1982【日本語字幕付: DVD】

 追記:恒例の「ロジャーのトチリ」今回気づいたのは3ヶ所。「Behind Blue Eyes」と「Long Live Rock」それぞれ演奏の中間あたりで、そして「Won't Get Fooled Again」のラストの2行のところで歌うタイミングを間違えます。以前の映像コンテンツにも(ほぼ)必ずあったことで、日本公演でもありました(ソロ公演でも)。でもこの人、こういうのをカットしたり編集したりしないんですよね。本当にロジャーっていい人だなあって思います。
 追記2:1982年ごろのザ・フーは日本では人気がなく、ツアーの模様などはほとんど報道されていませんでした。そんななか貴重な記録があります。「ロッキング・オン」1983年1月号。この号に、シェア・スタジアム両日程を実際に観た日本人の投稿が掲載されています。この方はたぶんその当時米国に住んでいたのではないかな、ツアーに先立つプロモーションの話題もあり、この時バンドが置かれていた状況などにも思いを馳せた、熱心なファンらしい素晴らしい内容です。この文章を読んでいたおかげで、このときアンコールにビートルズナンバーを演奏したことも当時から知っていました。今もこの号は持っています。ちなみのこの号には、このツアーでオープニングアクトを務めたクラッシュへの取材記事も掲載されています。NME記事の翻訳で、当時のイギリスのマスコミらしく、部分的には非常に(フーに対してもクラッシュに対しても)失礼な内容になっていますが、そういう部分も含めて当時の空気を伝えてくれます。

追悼 クリス・スクワイア

 ここに1枚のLPがあります。イエス1977年のアルバム「Going For The One」。グループにとって3年ぶり、リック・ウェイクマンが復帰作。発売当時は「ポップになった」という声もありましたが(本当よ)、今となってはこれもファンには「イエス最高傑作」の1枚だと認識されていますね。
 実はこのアルバム、僕が生まれて初めて買ったイエスのアルバムでした(アルバムのリリース半年後くらいに買ったはずです)。イエスのアルバムとして初めてであると同時に、僕にとっては生まれて初めて買った「ベイ・シティ・ローラーズビートルズ関連以外のレコード」でもありました。この数カ月後にクリムゾン、フロイド、ELPなどのプログレにどハマリする僕ですが、そのスタート、大げさにいえば「特定のグループのファンであるだけではなく、広くロックというジャンルを愛するファン」になるきっかけとなったアルバムです。ここから今日まで来ています真面目に。
 以来約40年。家が傾くほどレコードCDの類を入手し、聴いてきた僕ですが、イエスの音楽はいつもそばにありました。ジョン・アンダーソンが脱退してしまってからの来日公演には行かなかったんですが、1988年(だったかな?)の2度目の来日公演からは逃さず観に行きました(メンバーのソロ、ABWHなども行きました)。ほぼ毎回ちょっとずつ違うメンバー構成でしたが、ただひとり、クリス・スクワイアだけはいつもそこにいました。イエスというグループのステージには必ず。そしていつも変わらず、イエスの音楽をがっしりと支えていました。それはもちろんスタジオ録音の場でも、でした。あの多彩な、でもロックらしさを失うことのない独特のベースサウンドは、プログレというカテゴリー内だけではなく、ロック界全体でも特筆すべきものだったと、今も思っています。
 イエスファンには有名な言葉に「クリスの電話」というものがあります。メンバー交代などに際しまずクリスが声をかけて、それがきっかけになるというエピソードがたくさんあります。シネマがイエスになる原因となったジョンの参加も、クリスがジョンに「Owner Of The Lonely Heart」のテープを聞かせたことでした。
 歴史が長く人間関係も複雑だったイエスにあって、一度もグループを離れることなく常に支え続けたクリス。ロックは破天荒な天才ばかりが光を浴び、地道な努力が評価しづらいジャンルですが、クリスのような生き方、活動のしかたもまた、ロックを豊かにしてくれたワン・アンド・オンリーの「道」だったと思います。彼が亡くなったことにより、イエスはオリジナル・メンバーの再現が不可能になりましたが、それだけでなく、どの時期のイエスも再現できなくなったのだと知るにつけ、彼の偉大さを実感します。
 最初に書いた「Going For The One」の3曲め(A面の締め)はクリスのペンになる「Parallels」が収録されていました。低い音量でかすかに聞こえる音(マリンバかしら?)に耳を凝らしているとき、突然響き渡るパイプオルガンのコード。そこからは荘厳さとダイナミックさが同時に突進してくるような演奏。ブルースからの影響はほとんど感じられないですが、それでも紛れもない「ロックの名曲」でした。初めて聴いた時圧倒され、それは今日まで続いています。偉大なバンドの偉大なメンバー、天才プレイヤー。そして僕にとっては大恩のある、大好きな音楽家。クリス・スクワイア様、謹んでご冥福をお祈りします。

ポールの誕生日、リンゴのニューアルバム

 今日6月18日は我らがサー・ポール・マッカートニー73歳の誕生日です。なんというか、もう慶祝としか言いようがないですね。 先々月に観たあの素晴らしいコンサートで、僕は改めてポールの才能の巨大さ、エンタテイナーとしての業績の巨大さに圧倒されました。ポールの誕生日は毎年「おめでとうございます愛してます」と思っているわけですが、今年は格別です。
 少し前に松村雄策さんの「ビートルズは眠らない」を再読していたら、映画「ゲット・バック」についての文章があって、そこにリチャード・レスター監督が「(1989〜1990年のツアーについて)ポールの最後のツアー」というようなことを語っていたとして、「もう1回くらいなんとか」と書かれていたんですが、それから25年、数えれば全5回、日本に来てくれたわけです。現在の年齢や昨年の体調不良などから、なんとなく「最後かな」というような気もしないでもないですが、いや、あのポールのこと、また必ず元気に来てくれると、今は信じています。
 で、話題はもうひとりのビートル、我らがリンゴ・スターに移ります。ニューアルバム「Postcard From Paradise」。よかったです!いっつも書いていますが、ここ数年、いやここ10数年のリンゴはツアーも順調だしアルバムも定期的に出しているし、それがまたどれも充実した内容だしで、真面目に「リンゴの全盛期は今!」と思えますが、今度のアルバムもすごいです。
 前作、前々作が内容はいいけれどもうひとつキャッチーさに関して物足りない部分があったんですが、今回はポップさもぐっと増してリンゴらしい楽しさも戻ってきています。1曲めが恒例になったリヴァプールもので、その名も「Rory And The Hurricanes」なんですからタマらない。一昨年日本にも来てくれたオール・スター・バンドの面々ももちろん参加。共作もしています。「Bamboula」ではヴァン・ダイク・パークスが共作者クレジットされています。彼も最近はリンゴのアルバムに頻繁に参加していて嬉しいですね。 もちろん一番の魅力はリンゴのドラムと歌です。ちなみに僕が入手したのはメイド・インEU、「Back To Black」ステッカーが貼付されたアナログ盤で、MP3のダウンロードができました。iPodではそちらを、部屋ではアナログを聴くという、「今どき」リスニングですね(笑)。
 これまたいつも書いていますが、リンゴのアルバムはその内容にも関わらずあまり話題にならないまま市場から消えてしまい、数年たったら廃盤屋でプレミア付きで売られているなんてことも多いんですが、それではもったいない。みんなで聴いて楽しめる、そんな作品です。聴いて損なし、僕が保証します。
 ポールといいリンゴといい、僕達が大好きな2人が、あの年齢でそれぞれ大活躍してくれているのは、後に続く僕達のような人間にとっては本当に心強いものです。これからもずっとこうして、ポールやリンゴの素晴らしい活躍を楽しみ賞賛していきたいです。

NEW-ジャパン・ツアー・エディション(DVD付)

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POSTCARDS FROM PARADIS

POSTCARDS FROM PARADIS

サザンオールスターズ 東京ドーム 2015.5.24

 一週間前のことですが、サザンオールスターズのコンサートに行って参りました。会場は東京ドーム。妻と僕にとっては2013年の茅ヶ崎以来久しぶりのサザンでした。
 内容を一言でいうと「サザン完全復帰」でした。僕が観た前回前々回はそれぞれ活動停止前後のもので、それぞれ一種の「大イベント」だったので、セットリストも演出もそのあたりをクローズアップしたものになっていました。それが、昨年末の年越しライヴからそのあたりのイベント色が薄まってきて(これは抽選に外れてテレビ鑑賞でした。大晦日の、例の勲章騒ぎがあったやつ)、そして今回、ほぼ完全に「サザンの通常ツアー」に戻ってきた、という感じです。
 オープニングは「TARAKO」、そして恒例の「ミス・ブランニュー・デイ」に続いて「ロックンロール・スーパーマン」。新作「葡萄」からの曲がかなりのウエイトを占めるなか、今回は80年代中盤から90年代あたりの渋目の曲がたくさん取り上げられていました。個人的に「死体置場でロマンスを」「顔」「Computer Children」など「KAMAKURA」からの曲が嬉しかったですが、「電子狂の詩」「ブリブリ・ボーダーライン」「おいしいね〜傑作物語」「よどみ萎え、枯れて舞え」など、どちらかといえばヘヴィなテイストの曲が選ばれていたのが印象的でした。
 上に書いたとおり、活動停止前後のコンサートはその性格上一種の「祝祭選曲」で名曲ヒット曲満載でした。本来のサザンのライヴ選曲はもっと暗い、というか桑田さんの心情吐露的ナンバーが多いものでしたが、それが(年越しライヴも含めて)復活してくれたのが、僕にとっては「サザン本格復帰」という感じで嬉しかったです。年末の騒ぎがなにか影響を及ぼすだろうかと思ってもいたんですが、そんなコッパな勝負はしていませんでしたね。「東京VICTORY」も「栄光の男」も「蛍」も効果的な順序と演出、「ピースとハイライト」はアンコールでの登場。まさに確信に満ちたものでした。いつものサポートメンバーも勢揃いの「チーム・サザン」の演奏も当然ですが見事のひとことでした。
 一昨年以来、ほぼ休憩なしで活動しているサザン。賞賛も批判もすべて正面から受け止め、徹底したエンターテイメントに昇華するその力は今回も健在でした。最後の挨拶で桑田さんが叫んだ「みんな、死ぬなよー!」という声。それは観客の僕達だけではなく、自分自身も含めた全員に語っているようでした。そう、みんなで生き延びましょう。そしてまたこの日のような楽しい夜を過ごせますように。最高でした。

 追記:ちょっとトリビア的なことを。どの曲だったか忘れてしまったんですが、イントロダクションにピンク・フロイドの「The Great Gig In The Sky」(虚空のスキャット)が演奏されました。ちゃんとした尺で。洋楽ファンとしては嬉しかったです。妻はポカンとしていましたが(笑)。
 追記2:腕時計型のLEDライト、今回も会場全体を光で埋め尽くし、素晴らしかったですが、終わったら回収でした。妻が昨年末に行った福山雅治のコンサートでも回収だったそう。一昨年の茅ヶ崎では持ち帰りオッケーだったんですが(今も持っています)、そっちのほうが大盤振る舞いだったんですね。
 追記3:今回のコンサート、我が家は親子3人で行きました。僕と妻、娘のドレミ(もうすぐ10歳)で。7年前の「大感謝祭」では会場まで一緒に行き、託児サービスに預かっていただいたドレミでしたが、今回晴れて観客として参加しました。ずっと「一度サザンのコンサート行ってみたい」と話していた娘は始まるまで大はしゃぎでしたが、終わってから「どうだった?」と訊きましたら「うるさかった。火とか出てびっくりしちゃった」とのこと(笑)。ドレミはあまり大きな音が好きではないのです。僕の娘なのに(笑)。でも「楽しかった」とも言っていたので、連れて行ってよかったかな。ちなみにこれがドレミにとって、生まれて初めてのロックコンサートになりました。僕のロックコンサートデビューは高校生でしたから、ずっと早いや(苦笑)。

kindleで読む萩尾望都の傑作

 今日は最近ハマったものことを。
 ちょっと前にあるネット掲示板萩尾望都の「ポーの一族」の話題がありました。何人もの人がその感動を語っていました。僕も多感な(笑)高校生のころ読んで感動した「ポーの一族」久しぶりに読みたくなって、持っている文庫本を探してみたんですが、例によって本の山奥深く隠れていて見つからない。そこでちょっとアマゾンを検索してみました。実を言うと最近ちょっと(もともと非常に悪い)視力がナニでして(笑)、手元が見にくくなっており、コミック文庫サイズはだんだん辛くなってきているので、これを機会に愛蔵版でもあったら購入しようかな、と思って。
 そうしたら、愛蔵版は見つからなかったんですが、あったのです、kindle版が。これだ、これなら拡大して文字も読めるし暗いところでも読める。なんか思いっきり老人力全開ですが、気取ってもしょうがない、iPad miniも持っていることだしと思って、試しに第1巻を購入しました。
 結果、のめり込んで読んでいます、「ポー」。じっくり読み返したのはもしかしたら10年ぶり、いやもっと久しぶりかも知れないんですが、今でも読むと新たな発見と感動があります。さすが萩尾望都。ちなみに第1巻には「ポーの一族」「ポーの村」「グレン・スミスの日記」「すきとおった銀の髪」が収録されていました。なにげにメリーベルの登場頻度が高いのが個人的に嬉しい(笑)。
 そして、「ポー」の第1巻のほかもう1冊、「トーマの心臓」も購入しました。こちらはある意味で「ポー」以上に感動し、愛読した作品。これは今もコミック単行本を持っているほど好きな作品ですが、単行本では(「トーマ」以外の短編も収録して)全3巻だったものが、「トーマ」のみの完全収録版。これも「ポー」以上にのめり込んで読んでいます。「トーマ」を始めて読んだのは(「ポー」と同じく)高校1年のとき。部活の先輩から単行本をお借りして一読したときの衝撃は忘れられません。読書が好きだったとはいっても大して読んでもおらず、井の中の蛙だった僕にとって、少女コミックにこれほどの作品があるなんて信じられないほどでした。
 ずいぶん読んだのでけっこう詳細を記憶していた「トーマ」ですが、改めて琴線に触れたところを。物語の中盤でユーリとエーリクがユーリの実家に泊まる場面。折り合いのよくないユーリの祖母が、亡きユーリの父のことを「あのアラブ人」と呼び、父親似のユーリを誹るのを立ち聞きしたエーリクが「ここきみんち?ここきみの家族!?」「あれ、ほんとにきみのおばあさん!?」と驚き憤慨します。初めて読んだ時も印象的だったところですが、自分が親となり、家族というものを10代のころよりも深く考え、体験してきた身としては、あのとき感じたよりも切なく迫ってきます。あまり長くないこの場面で、ユーリの境遇を説明し、彼とエーリクが家族に対して持っている認識の大きな差を見事に描いているというのもよくわかります。さすがモー様。
 高校生になって、社会のこと、宗教などに興味を持ち始めた頃でもありましたので、本当に「こんな世界があるのか!」と思いつつ、何回も何回も読み返しました。その傑作を、今50歳を越えて、デジタルデバイスでいつでも読めるようになるなんて、夢のようです。Kindle版をiPadに入れているので、本当にじっくり見たい・読みたいところは拡大して、行きつ戻りつ読んでいます。
 「ポーの一族kindle版は全5巻(紙のコミック単行本と同じだね)で1巻400円ちょっとですので、大人買いしようと思えばチョチョイのチョイなんですが(そしていつもの僕ならそうしてしまうんですが)、今は第1巻だけを読んでいます。ゆっくり腰を落ち着けて、1「冊」づつ楽しみ、感動しながら、ラストまで進んでいきたいと思っています。この傑作に相応の敬意と愛情をこめて。